出来るはずのないメカニズムをもったドリップポット。しかし、これが出来ると勘違いしている。
そもそも“分子間力”と“表面張力”どう違うのだろうか?ここで、想像してみよう!パチンコ玉大の球形磁石が握り拳大の量であったとする。握ると簡単に形状を変える事ができる。個々の磁石は互いに引きつけ合っているが、特定の分子との連結ではなくどの分子でもかまわない。次から次へと連結の相手を変える事が出来れば良いわけであり、変形が容易なのはこの為である。分子間力とは、このような力である。しかし、2つに分断するとなると話は変わってくる。変形させたときよりは遙かに大きな力を使わなければならない。表面張力とは、このような力である。今度は、磁力を持った砂鉄を想像してみよう!厚紙の上に砂鉄を置きゆっくりと傾けて行き、ゆっくりとスライドし始めたところをキープすると砂鉄はどんな動きをするだろうか?厚紙の縁から出た砂鉄の粒それぞれが、重力に負けて落下するだろうか。答えは違っているはずである。それぞれが重力によって地球に引きつけられる力よりも、砂鉄がお互いにくっつき合う力の方が強く、縁から垂れ下がった形状になって行く。そして塊が大きくなったところで、くっつき合う力より質量が勝り塊で落ちて行く。磁力を持たない砂粒がバラバラで落下するのとは違って、ある程度の大きさの塊で必ず落下する。ポットの注ぎ口にある水分子がこの状態にある。
 表面張力が働かなければ、注ぎ口を出た瞬間から重力によって個々の分子が地球に引きつけられて行く。しかし、表面張力によって、その力を打ち負かす質量にならなければ分断が起こらず落下できない。
ケトルの形状を幾ら工夫しても、絶対に表面張力を打ち負かす事は出来ない。“押してもダメなら引いてみな”ではないが、表面張力を利用しムーズに方向転換させ、落下を促す。そういったケトルをそろそろ誕生さる時期に来ているのではないか。