仕事帰りに今年初の演奏会。
川崎駅は最近大規模工事が終わり、かなり華やかな雰囲気になりました。
あとは南側が変わればもっと明るくなりそうですね。
☆サカリ・オラモ/BBC交響楽団@ミューザ川崎シンフォニーホール
・ブリテン:歌劇《ピーター・グライムズ》より4つの海の間奏曲 op.33a、パッサカリア op.33b
・チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.35(Vn.アリーナ・ポゴストキーナ)
・チャイコフスキー/グラズノフ:《なつかしい土地の思い出》よりメロディ(アンコール)
・ブラームス:交響曲第1番 ハ短調 op.68
・シベリウス:《ペレアスとメリザンド》より間奏曲(アンコール)
BSで放送していたプロムス・ラストナイトでノリノリに演奏する姿を観て、魅力的なコンビだなと思って聴きに来ましたが、想像以上のものでした。
お国もののブリテンは、3曲目の《月の光》と4曲目の《嵐》の間にパッサカリアを配置するというもの。
1曲目の《夜明け》からは仄暗い閉鎖的な漁村の風景が目に浮かび、2曲目の《日曜日の朝》ではメカニックで無機質な演奏が村人の冷たさを感じさせ、《月の光》の寂しげな美しさは、ピーター・グライムズの孤独と哀しい結末を思わせます。パッサカリアではヴィオラ・ソロに心を奪われ、《嵐》の圧倒的な暴力性には言葉が出ません。プロムスの印象とは180度異なるクールな音色で、媚びへつらわない演奏に心打たれました。
チャイコフスキーのソリストは、コパチンスカヤのキャンセルでポゴストキーナへ変更。
名前も知らなかったですが、衣装からも伝わるストイックな姿勢と確かな技術に裏付けられた表現力の高さには脱帽です。
この曲は有名な協奏曲の中ではかなり苦手な部類なんですが、今日の演奏くらい辛口なアプローチだとそんな苦手意識も忘れさせてくれます。アンコールはオケ付き。
ブラームスの1番は、昔はかなり好きな曲でしたが、最近はあまり積極的には聴かなくなってしまった曲で、正直そこまで期待は高くなかったですが、良い意味で今日一番の裏切りでした。
1楽章冒頭から息苦しいくらいの張りつめた緊張感。僅かな弛緩もなく、抗えない運命のように進んでいく音楽は、ブラームスがこの曲にどんな想いを込めていたのかがひしひしと伝わってきます。2楽章の音色もダークで、幸福な要素を全く感じさせません。
3楽章で束の間の安らぎがありながら、終楽章も一度テンポをどっしりと落ち着かせて、現実に引き戻させられます。得てしてこの曲はコンマスやホルン、オーボエ、ティンパニあたりが主役になりがちですが、今日の演奏の主役はフルート。フルートにのみ英雄的な役割が与えられ、終楽章のソロはあたかも救世主のような存在感を発揮。そしてトランペットがところどころで奏でる運命的な節が良いアクセントになっていて、音楽を引き締めていました。
客席の反応はチャイコフスキーが圧倒的に良かった気がしましたが、たしかにこのブラームスは好みでない人も少なからずいる気がします。瑕がなかったわけでもないですし。
ただ、今日のブラームスは一つの方向性の極致にかなり近いものに感じました。
終演後のサイン会は行く予定なかったですが、あまりにも素晴らしい演奏会だったので並んでしまいました。
オラモとポゴストキーナ2人からいただきましたが、2人とも笑顔が素敵で人柄が伝わってきて、なんだか癒されました。