疲れているのか仕事が捗らなかったので、思い切って定時にあがってNHKホールへ行ってきました。夜の紅葉も風情があって素敵です。


☆エド・デ・ワールト/NHK交響楽団@NHKホール
(第1740回定期演奏会Cプログラム)
・ブルックナー:交響曲第8番(ノヴァーク版)


先日の《ワルキューレ》が素晴らしい出来だったので、ブルックナーにも期待が高まります。客席には皇太子様の御姿もありました。

第1楽章から重すぎないテンポで見通し良く音楽が流れていきますが、要所要所でテンポを落として聴かせどころを浮き彫りにしていました。第2楽章の荒々しいスケルツォもきっちりとオケがコントロールされ、なかなか高水準。管楽器も以前のイメージより安定している印象を受けました。第3楽章はもっと耽美的な演奏が好みですが、デ・ワールトはそういう指揮者ではないようなのでそれを求めるのはお門違いですね。第4楽章はオケも最後の力を振り絞って壮大なクライマックスを見事に形成。弦楽器の厚みがあるオケは迫力があります。

総じて感情的にならない俯瞰的なアプローチで好演でしたが、お互い探り合いのような部分もあり、どこか冷めているようにも聴こえたのも事実。明日は2日目なのでもっと指揮者とオケの距離が近づいた演奏になるかもしれませんね。


ところで今日も当日券で行ってきたわけですが、国内オケのユースチケットは安価で聴けるのでもっと活用しておけばよかったです。今年の演奏会までが年齢ぎりぎり…。


なんだか風邪をひいたらしく喉が痛い…。
これからどんどん寒くなってくるので体調管理はしっかりしたいものです。

今日も仕事後サントリーホールへ。


☆マウリツィオ・ポリーニ-ポリーニ・パースペクティヴ2012-(ベートーヴェン/シャリーノ)@サントリーホール
・シャリーノ:《謝肉祭》第10番「震えるままに」、第11番「雨の部屋」、第12番「弦のない琴」(ルツェルン・フェスティバル委嘱作品、日本初演)
ピアノ…ダニエレ・ポリーニ
室内アンサンブル…クラングフォーラム・ウィーン
声楽アンサンブル…シュトゥットガルト・ニュー・ヴォーカル・ソロイスツ
指揮…ティート・チェッケリーニ
・ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第30番
・ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第31番
・ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第32番


10月から続くポリーニ・パースペクティヴの中で、マウリツィオ・ポリーニが登場するのは今日で最後。ベートーヴェンの後期3大ソナタが聴けるとあってずっと楽しみにしていましたが、観客は6~7割の入りでちょっと寂しい感じ。

前半はイタリアの現代作曲家・シャリーノの《謝肉祭》。今年のルツェルン音楽祭で初演された曲だそうですが、正直いまいちピンと来ず…。特に「雨の部屋」がずっと同じ曲調で30分くらい続いたので完全に集中力が切れて寝てしまいました。珍しい楽器が聴けたのは収穫でしたが、プログラムの「幻影と魔術の作曲家」という紹介はこの曲に限って言えばいささか言い過ぎな気がします。最近聴いたシュトックハウゼンや武満徹の方がやはり遥かに魅力的です。

後半のベートーヴェンは、まさに筆舌に尽くしがたい名演。ポリーニが前回とは別人のようでした。
固めの重厚な音色でありながら響きは優しく、芯のある音は一音一音が心に沁み渡っていくよう。30番は冒頭からダイヤモンドのようにきらきらと輝く音色が響きわたり、終楽章の主題と変奏の扱い方も丁寧で、ベートーヴェンの美の極致を感じさせてくれました。31番は苦悩や諦観といった感情を含ませながらも、歩み続けることを厭わない強い決意を秘めた情熱的な演奏。終楽章はまさに聴き手を暗闇から光の射す方へと導いてくれるようなポリーニの虚飾のない音楽に、ただただ感服。来日公演での最後の曲となった32番は、冒頭の減七の和音から気合十分。まるでピアノと一体となったかのように魂の入った音楽で、歌心も忘れず、技術的にもCDで聴く全盛期を彷彿とさせるような演奏でした。

11/2の演奏には綻びもあり少し不安が感じられましたが、今日の演奏は本当に素晴らしかった。もちろん観客は総立ちでスタンディングオベーション。5分くらいは続いていたでしょうか。

今回のプロジェクトは室内楽公演以外はNHKが全公演収録しているようなので、今日のベートーヴェンはぜひとも放送してほしいです。12/16のプレミアムシアターでいくつかの曲を放送予定だそうです。
昨日の晴天とは打って変わって雨が降りしきる中、昨日の演奏会が消化不良だったこともあって今日も当日券で演奏会へ。代々木公園の紅葉が良い感じ。


☆エド・デ・ワールト/NHK交響楽団@NHKホール
(第1739回定期公演Aプログラム)
・武満徹:遠い呼び声の彼方へ!(1980)(Vn.堀正文)
・武満徹:ノスタルジア~アンドレイ・タルコフスキーの追憶に(1987)(Vn.堀正文)
・ワーグナー:楽劇《ワルキューレ》第1幕(演奏会形式)
〇キャスト
ジークリンデ…エヴァ・マリア・ウェストブレーク
ジークムント…フランク・ファン・アーケン
フンディング…エリック・ハルフヴァルソン


N響を聴くのは恐らく4年振り。本当は今年の東京・春・音楽祭で《タンホイザー》を聴く予定になってたのですが仕事が休めず泣く泣く断念…。上手いオケだとは思うのですがあまり印象に残らないことが多いこと、サントリーのB定期のチケットが全く取れないこと、NHKホールの音響が悪いことなどの理由もあって積極的には聴きに行っていませんでした。

しかし、今日の演奏会は今まで聴きに行かなかったことを後悔させるには十分過ぎるくらいの素晴らしいものでした。

前半は武満徹の独奏ヴァイオリンを擁する2曲。海や水、霧といった自然的な要素をモチーフとして創られた武満徹の神秘的な雰囲気を漂わせる曲です。《遠い呼び声の彼方へ!》ではデ・ワールトの棒と堀正文のヴァイオリンを中心に一音一音を丁寧に紡ぎ、無機質な音楽にもなりがちな曲を丁寧に創り込み、深い表現を聴かせてくれました。ノスタルジアは独奏ヴァイオリンと弦楽という編成ですが、こちらはさらに叙情的に歌いこまれ、哀しくもあり切なくもあり、官能的に響きわたり、秋雨の演奏会にぴったりの名演。

そしてメインの《ワルキューレ》第一幕。これには本当に度胆を抜かれました。これが日本のオケなのかと思うくらい弦楽器は重厚で渋い音を出し、木管は艶やかな音色で歌い、金管は輝かしく響き渡り、まるでワーグナーを十八番としている歌劇場のオケのようでした。
歌手も3人とも素晴らしい!フランク・ファン・アーケンは体調が悪いのか汗を拭きつつ水分補給しながらの歌唱でしたが、それでも芯のある声で熱演。エヴァ・マリア・ウェストブレークも伸びのある高音でドラマティックな歌唱を聴かせてくれ、ワーグナーがぴったり。エリック・ハルフヴァルソンは出番が一番短い役ですが、地鳴りのような低音は迫力満点。この人の強面のバスをぜひいろんな役で聴いてみたいです。
デ・ワールトの指揮はまさに職人気質といったような手堅い指揮で、劇的とまではいかないまでも曲の見通しがよく、曲本来の味をそのまま素直に引き立たせていて好感が持てました。正統派のワーグナーを聴けた気がします。

NHKホールの音響の悪さも今日の名演の前には全く気にならず。もしかしたら今日座った3階センター前方はそこまで音響悪くないのかもしれないですね。
来月はデュトワがA定期でオペラ(演奏会形式)を振るので、また聴きに行ってみようと思います。
今日は元々約束していた予定をドタキャンされてしまい1日暇になってしまったので、当日券狙いでサントリーホールへ。そして無事に当日券を確保。好天だったので出かけやすくてよかったです。


☆山田和樹/日本フィルハーモニー交響楽団@サントリーホール
(第645回定期演奏会)
・野平一郎:グリーティング・プレリュード
・ガーシュイン:ピアノ協奏曲(Pf.パスカル・ロジェ)
・サティ:グノシエンヌ第5番(アンコール)
・ヴァレーズ:チューニング・アップ
・ムソルグスキー/ストコフスキー:組曲《展覧会の絵》


山田和樹の正指揮者就任披露演奏会でもある定期演奏会。開場後には山田和樹のプレ・トークもあり、プログラミングの意図や各曲のポイントをわかりやすく解説してくれて興味深かったです。ガーシュインを核とした、かなり凝られた面白いプログラミングということがよくわかりました。

演奏の方は、全体的にオケの音(特に弦楽器)が曇っているというか濁っているというか、洗練された音には程遠く、芯のない薄い音でぴりっとせず…。音楽も終始一本調子で、ガーシュインこそパワフルな演奏をしていたものの、リズムも重く何かぱっとしない。客席の集中力もなく、演奏中の雑音が多くて残念ながら演奏会としては今一つでした。一番良かったのがパスカル・ロジェのアンコールだったというのも寂しいかぎり。ストコフスキー編曲の《展覧会の絵》は皮肉にもラヴェルの偉大さが再認識できるような編曲でした。

財政基盤も安定しない状況で、群雄割拠の在京オケの中で人材の確保もなかなか難しいかもしれませんが、アレクサンドル・ラザレフや山田和樹がいる間になんとか他の在京オケに負けないようなオケになっていってほしいです。
今日の演奏会は元々行く予定はしていなかったのですが、ここまでのツアーの評判があまりにも良かったので急遽当日引換券を購入して行ってきました。S席しか残っておらず予算的にはかなり厳しいのですが、聴きに行かないで後悔するのが一番嫌なので奮発しました…。他を切り詰めよう。。


☆ヘルベルト・ブロムシュテット/バンベルク交響楽団@サントリーホール
・モーツァルト:ピアノ協奏曲第17番(Pf.ピョートル・アンデルシェフスキ)
・J.S.バッハ:フランス組曲第5番より「サラバンド」(アンコール)
・ブルックナー:交響曲第4番《ロマンティック》(ノーヴァク版)


バンベルク響はジョナサン・ノットとの来日公演を2006年と2009年に聴いていますが、2006年にやったマラ5とプロコのヴァイオリン協奏曲第2番は名演だったのに、2009年のブラームス・ツィクルスがいまいちだったので今回はパスするつもりでした。ですが、本当に行ってよかったです。

アンデルシェフスキは初めて聴くピアニストで演奏の予想ができませんでしたが、透明感のある落ち着いた音色で端正なモーツァルトを聴かせてくれました。弾き振りも得意なようで、今日もところどころ左手で軽く指揮のような動きを見せていましたね。ブロムシュテットはこの曲では指揮台も指揮棒も使わず、ソリストとオケの自発性を尊重していたように感じました。バンベルク響は渋い音色ながらも瑞々しく、そのいぶし銀のようなモーツァルトに会場は拍手喝采。アンコールのJ.S.バッハも深い表現で、その姿勢からアンデルシェフスキの音楽への真摯さが伝わってきます。ブロムシュテットとは音楽家として似ていて、きっと相性が良いのではないかと思われます。

メインのブルックナーはまさに天上の音楽。先日のティーレマン/ドレスデン国立歌劇場管のブルックナーも素晴らしかったのですが、今日のブロムシュテット/バンベルク響もまた違ったタイプの演奏で神懸っていました。
第1楽章冒頭の弦のトレモロからホルンが出てくるところでもう並の演奏にはならないことを予感させられ、その期待通り70分間ひたすら別世界へと誘ってくれました。ブロムシュッテットは自然体で奇を衒わない正統的なアプローチですが、そんな言葉では済ませられないくらいの技術を持っています。指揮姿にしても大袈裟ではなく淡々と棒を振るのですが、出てくる音の色や幅は多彩で、オケがブロムシュテットの意思をきちんと汲み取り理解していることが如実に伝わってきます。フレージングの一つ一つに意味を持たせ、この大曲全ての部分にきちんと生命を吹き込んでいました。85歳という年齢を全く感じさせずに音楽を紡ぐその姿は、まるで魔法使いのようでした。終演後の一般参賀も2回ありましたが、元気そうに何度も客席に手を振っていました。
オケの音色は3年前に聴いた時より格段に美しく、世界中のオケのグローバル化が進んで音色の差がなくなってきていると言われる中でも、一昔前のドイツのオケ特有の渋くて重厚な音色を存分に味わうことができました。特に対抗配置のヴァイオリンが絶品でしたね。金管も派手さはないもののブルックナーの荘厳な響きをきちっと創っていて流石の一言。ホルン首席ブラボー。


今日は久々に1階席で聴いたのですが、いつもと聴こえ方が違って最初は集中しきれなかったのが残念。やっぱり自分には慣れ親しんだ2階席の方がしっくりくるみたいです。あとブルックナーのあとはやはりもう少し静寂が欲しいものです。