今日はいつものカラオケで自主練し、1年ぶりの新国立劇場へ。
日本ではなかなか取り上げられない珍しいオペラです。


☆ヤロスラフ・キズリンク/東京交響楽団@新国立劇場
コルンゴルト:歌劇《死の都》(カスパー・ホルテン演出)

〇キャスト
パウル…トルステン・ケール
マリエッタ/マリーの声…ミーガン・ミラー
フランク/フリッツ…アントン・ケレミチェフ
ブリギッタ…山下牧子
ユリエッテ…平井香織
リュシエンヌ…小野美咲
ガストン/ヴィクトリン…小原啓楼
アルバート伯爵…糸賀修平
マリー(黙役)…エマ・ハワード
ガストン(ダンサー)…白髭真二
合唱…新国立劇場合唱団、世田谷ジュニア合唱団


フィンランド国立歌劇場からのレンタル・プロダクションである今回の演出。
舞台は1幕から3幕まで基本的に同じ装置ですが、照明や登場人物、背景の遷移を利用することで、場所が異なる場面も違和感なく表現できていました。小道具や照明の使い方が幻想的で美しく、視覚的にも楽しめる演出でした。マリーの黙役、ハワードが良い味出していました。

音楽はコルンゴルト特有の甘美なメロディもところどころに聴かれましたが、予習していなかったこともあり、あまり耳には残らなかったです。アリアがあまり多くないこともその要因の一つかもしれません。歌手陣はケールとミラーが流石の歌唱。ケールはやや声量の力感が乏しくも感じられましたが、その分苦悩する男の繊細な感情の機微を丁寧に表現し、ミラーはプライドの高いマリエッタを伸びやかで力強い歌唱で好演していました。東響の演奏も安定感があり、全体的に高い水準でまとまっていた公演だったと思います。今回は勉強不足だったこともあり、また観てみたい作品になりました。
今年も花粉の季節になってきましたね。
早めに病院行って薬飲んでるおかげか、昨年よりはかなり楽です。
飛散量自体も少ないようなので良かったです。


☆下野竜也/読売日本交響楽団@サントリーホール
(第535回定期演奏会)
・ドヴォルザーク:レクイエム op.89
Soprano.中嶋彰子
Mezzo-Soprano.藤村美穂子
Tenor.吉田浩之
Bass.久保田真澄
合唱…国立音楽大学合唱団


この作品はドヴォルザークの作品の中でも一番好きですし、レクイエムの中でも一番好きな作品です。5年前にウィーン楽友教会でヤンソンスとコンセルトヘボウの演奏を聴きましたが、あれが人生で一番心に残る演奏会でした。

あの大震災からも3年が経ち、きっとその哀悼の意も込められていたであろう今日のレクイエム。素晴らしい演奏でした。

冒頭から心が締め付けられるような弦楽器の幽玄な響き。奏者の並々ならぬ感情が聴き取れます。「怒りの日」の迫力、推進力も圧倒的。第一部最後の「涙の日」のアーメンの箇所では、オケと合唱のあまりに透明な天上の響きに涙腺が緩みっぱなしでした。
第二部は比較的穏やかな曲調の曲が多いですが、終曲の「アニュス・デイ」は鎮魂の祈りが込められた儚く悲しく響きわたりました。ゲスト・コンサートマスターの長原幸太が見事にオケを統率し、オケと合唱が一体となって同じ方向を向き続けていたからこそ、この大曲が弛緩することなく、こんなに素晴らしい演奏につながったのだと思います。独唱陣はバスが急遽代役になりましたが、それぞれ存在感のある歌唱を披露し、合唱含めて素晴らしい歌声が聴けました。途中体調不良の方が出てしまったようですが、女性合唱が特に良かったです。

なかなか取り上げられることのないこのレクイエムを定期で取り上げてくれた下野/読響のコンビには大感謝です。


今日ついに新しい楽器を購入しました。
いま使っている楽器も同じサト・テクノさんで購入したものでしたが、それももう10年前。

機種はずっと憧れていたBuffet CramponのPrestige。
予約した際は3本の中から選べるということでしたが、タイミングよく直前にもう1本入荷したとのことで4本から選ぶことができました。
選定はN響の加藤先生にお願いすることができ、こちらもタイミングよく日時の都合が合ったので、目の前で選定していただけました。

音色も木目も美しく、慣らし期間が終わったら存分に吹き込みたいです。

A管も久々に調整に出したので、また新たな気持ちで頑張ります。
先週急にエアコンが故障してしまい、もともと今日は午後半休の予定だったので業者に来てもらいました。

1時間ほど点検・修理した結果、今日は直せないのでまた改めて伺いますとのこと。
まだ夏に壊れる方がマシだったな…。寒すぎる…。

その後、夜は演奏会へ。


☆ロビン・ティチーアティ/スコットランド室内管弦楽団@サントリーホール
・メンデルスゾーン:序曲《フィンガルの洞窟》 op.26
・ショパン:ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調 op.21(Pf.マリア・ジョアン・ピリス)
・ショパン:ノクターン第3番 ロ長調 op.9-3(アンコール)
・ベートーヴェン:交響曲第5番 ハ短調 《運命》 op.67
・モーツァルト:歌劇《フィガロの結婚》K.492 序曲(アンコール)


以前にも書いたことがありますが、個人的にこのロビン・ティチアーティという指揮者に注目しています。もう欧州では主要オーケストラやオペラハウスから引っ張りだこになりつつありますが、今年からグラインドボーン音楽祭の音楽監督を務めるということでさらに注目が集まりそうです。《ばらの騎士》を振るそうなので、NHKでぜひとも放映してほしいものです。

今回の来日はスコットランド室内管と。
室内オケなだけあって編成もかなり小ぶりですが、出てくる音楽はその強みを活かした精緻なものでした。席が遠かったせいかやはり迫力不足に感じるところもありましたが、それは仕方のないことでしょう。
《フィンガルの洞窟》はクラリネットの音色が心地よかった。ホルンとトランペットは古楽器を使用していましたが、ピリオドアプローチとまではいかないまでもビブラートは抑えていて清廉な響きが聴こえました。
ピリスを迎えてのショパンは、これも過度なロマンティシズムを排除した禁欲的なアプローチ。ピリスの奏でる音は一音一音の純度が高く、曲がどうこうよりその鍵盤の音に酔いしれてしまいます。素晴らしい演奏でしたが、個人的にはショパンよりは昨年ハイティンク/ロンドン響との組み合わせで聴いたモーツァルトの方がピリスにはマッチしているように感じました。完全に好みの話ですが。

メインの《運命》もピリオドアプローチというわけではなく、所謂折衷型と呼ばれるような演奏。音楽の方向性がまっすぐ示されており、すっきりとしていて見通しがよく、聴いていて胸がすっとするような演奏。もう少しオケの技術が高ければと思う箇所もありましたが、爽やかなベートーヴェンを聴くことができました。ただ、アンコールの《フィガロ》が一番このコンビに合っているようにも聴こえました。

ティチアーティの本領はきっとこんなものではないはずです。
また次回別のコンビでの来日を期待したいです。
定時退社して久々の演奏会へ行ってきました。
5年振りのニューヨーク・フィルです。


☆アラン・ギルバート/ニューヨーク・フィルハーモニック@サントリ-ホール
・ベートーヴェン:歌劇《フィデリオ》序曲 op.72b
・ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番 イ短調 op.77(Vn.リサ・バティアシュヴィリ)
・J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番 第3楽章(アンコール)
・ベートーヴェン:交響曲第1番 ハ長調 op.21
・ガーシュイン:パリのアメリカ人
・メノッティ:歌劇《アメリア舞踏会へ行く》序曲(アンコール)
・シューベルト:劇音楽《ロザムンデ》間奏曲第3番(アンコール)


ニューヨーク・フィルはアメリカのビック5の中でも個人的に1、2を争うくらい好きなオケです。ギルバートが音楽監督になってからサウンドが柔らかくなった印象ですが、今日の演奏も素晴らしかった!

1曲目は《フィデリオ》序曲。やや陰影を帯びた音色ですが、それでいて伸びやかで開放的な演奏。管弦のハーモニーが柔らかく溶け合い、心地よかったです。
ショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲はバティアシュヴィリの独奏。モデルかと思うくらいの美しい容姿に目を奪われましたが、その華奢な身体からは想像ができないくらいの圧倒的なエネルギーが彼女のヴァイオリンからは放たれていました。弱音でも決して音が脆弱にならず、常に響きに芯がある、何かを訴えかけてくるような力強い音色。特に第3楽章の慟哭にも似た悲痛な叫びのような演奏には心が震えました。第2、第4楽章のクラリネットは難所を軽やかに吹きこなしていて、こちらもブラボーでした。

休憩後はベートヴェンの1番。13-10-10-8-6という大きな編成で、ゴージャスで豊潤なベートーヴェンが展開されました。ギルバートの指揮は音楽を立体的かつ色彩感溢れるものに導いていて、バランスも絶妙でこの編成でもしっかり内声部が浮き立ち、まるで室内楽を聴いているかのように繊細なやり取りが聴き取れました。このコンビの演奏はベートーヴェンが求めていた本来の響きとはもしかしたら違うのかもしれませんが、自分はこういうベートーヴェンは大好きです。
最後はお国物のガーシュイン。ショスタコーヴィチとは打って変わって明るくノリノリの演奏でしたが、叙情的な箇所ではがらっと雰囲気が変わったりして、ギルバートとオケの懐の深さが感じられました。この曲に限らず、演奏会を通じて金管の若干くすんだ音色がなんとも言えず好みでした。弦と木管もとてもシルキーな音色で、オケ全体が非常に高い水準にあると思います。

改めてギルバートは才気溢れる力のある指揮者だと思いました。やはり過小評価されている感が否めません。
ニューヨーク・フィルとの演奏はiTunesでの配信ばかりなので、CDでも聴いてみたいものですね。