強迫行為とは

強迫観念を振り払う為、若しくは避ける為の行為です。
OCDの患者さんのうち約75%に見られるとされています。


【強迫は=過度のこだわり】とも言えます。
ご本人もこだわりにとらわれて不合理に感じ、
「こだわりを止めたい」と願っています。
しかし、その意思に反してどうしても
「こだわらなければならない。」ものになっているのです。

強迫観念から沸き起こった心配事を打ち消そうとしますが、
【完全に可能性を消すことが出来る方法は滅多にありません】
ですから、今より更に完全にしようと、
強迫行為がエスカレートしていまいがちです。




空想と現実の責任の差が感じられにくいので、
現実の事態に、
適切に対処する方法を考えたりすることが困難になってしまいます。

その行動をコントロールするのではなく、
思考や不安をコントロールして安全を守ろう、
責任を果たそうと考えてしまうのです。

このため、本人なりの安全への努力が、
周囲の人間から見ると、
問題の解決にならない矛盾した行動として見えることもあります。




強迫観念→強迫行為の実例

A:不潔に対する恐怖
①犬猫はどこで用を足しているか分かったものではない。

②もしかして、知らず知らずに触ってしまって、
目に見えないほど微量に手に付いているかもしれない。

③大切な物や人に触って付けてしまう前に手を洗おう。

④手を洗っても、完全に除去出来た保障はない。
それに、さっき触ったドアノブに何か付いているかもしれない。

⑤念の為に手を洗おう。
そして④の心配に戻る。

【このケースでは、一日に何十回も手洗いしていまい、
外出することすら困難にエスカレートしてしまう。】



B:無意識の行動に対する恐怖
①自分は運転中や歩行中にぼーっとしていることがある。

②意識していない時に、誰かを傷つけたのではないか。
そう言えば、ついさっきのことも覚えていない。

③通った道を引き返して、何もないことを確認しなければ。

④戻って確認してもやっぱり何もない。
でも、もうその人は救急車で運ばれたのではないか。
若しくは、自分が探し出せないだけで、
どこかに横たわっているのではないか。

⑤もう一度、確認しよう。

⑥ ④に戻る。

【このケースの場合、家族までも巻き込んで、
確認作業をしてしまったり、
その確認作業を警察にお願いすることもあります。
人を傷付けないことに確信が持てない為に、
車の運転や外出を避けてしまい、
通勤や通学、買い物などの、
日常生活にまで支障が出てしまいがちです。】



C:保管へのこだわり
①自分は保管しなければいけない書類を、
誤って捨ててしまうことがある。

②この書類は捨てていいのだろうか。
念の為に保管しておこう。

③そう言えば、このゴミ箱の中身は全てゴミだろうか。
確認しても、どこかに大切な物が挟まっていて、
気が付かないかもしれない。

④では、安易にゴミだと捨てられない。

⑤ ②→③→④を繰り返してしまう。

⑥気が付けば、自分の周りはゴミだらけ。
これでは余計に保管が必要な書類や大切な物と、
ゴミの区別が付かなくなってしまう。
どうしたらいいのだろう。。。

【このようなケースの場合、
ゴミを捨てることが苦痛になりますから、
いわゆるゴミ屋敷になってしまうこともあります。】



D:自分の本心との逆の考えへのこだわり
①事故現場や、知人の不幸な出来事の場面に合うと、
(本当な同情しているのに、)
「自業自得。」、「ざまあ見ろ。」など
不謹慎な空想が頭に浮かんでしまう。

②ココロの中の出来事は、他人に知られないが、
このようなことを考えてしまう自分は、
実は残虐な人間なのかもしれない。

③それに、「空想は願望のひとつなのではないか。」、
「強く願うことが実現しやすいというのなら、
不吉な空想だって実現しやすいのではないか。」

④この不安を帳消しにするには、
逆の内容の空想を思い浮かべて帳消しにしなければ。

「不吉な空想をしているときに行っていた行動は、
良い空想をしながらもう一度やり直さないと、
本当に不吉なことが起きるかもしれない」
という発想にとらわれてしまう。

⑤空想し直してみる。

⑥でも、なかなか不吉な空想を頭から消し去ることが出来ない。
だったら、良い空想で頭の中を満たさないとダメだ。

⑦「もう一度、不吉な空想の時にとっていた行動を、
良い空想をしながらやり直してみよう。」

⑧ ④に戻る。

【このようなケースの場合は、
周りのひとから見ると、
永遠と同じ動作を繰り返しているように見えます。
ですから、当然、止めようとしますが、
本人は止められて余計な雑念が入ることを嫌がり、
それに強く抵抗してしまいます。

本人は動作を反復しながら、
頭の中を良い空想だけで一杯にしておくことに専念しているわけですが、
そこで周りの人から声をかけられると、
「今の瞬間に何か悪い空想が混じってしまったかもしれない」、
「努力が台無しになった」と感じたりするのです。】


しかし、例を挙げきれないほど、
多種多様な症状が出てしまうのが強迫性障害です。
自分でもやり過ぎで、日常生活にも支障が出てしまうのなら、
先ずは医療機関で相談してみることをオススメします。










つづく