☆広汎性発達障害と発達障害

よく誤解されているのですが、
広汎性発達障害は『広汎』であって『広範』ではないです。

日本で『広汎性発達障害』と呼ぶ場合には、
自閉症を中心とした発達障害の一カテゴリを言います。

単なる『発達障害』の方が広い概念を指すので、
『広汎性発達障害』と言う場合には、
『発達障害の中の【自閉】が特異に見られるもの』と思って下さい。


発達障害の大きなカテゴリに小さな広汎性発達障害のカテゴリがある。


発達障害と言うのは、
実に多彩で種類が多く、
個人差も激しいものですから、
その全てをここでお話することは出来ません。

このブログで取り扱うのは、
『アスペルガー障害』、『学習障害(LD)』、『注意欠陥・他動性障害(ADHD)』
になります。

何故なら、
これらはメンタルの病気に非常に関与が深いものだからです。
そして、
(殆どの場合は極く軽度ですが)
未診断で自分が発達障害とは思っていない大人は多いのです。
未診断の発達障害のかたが生きにくさを抱え、
自立などの大きな人生の節目を乗り越えられないと『破綻』してしまい、
メンタルの病気を発症させてしまうことが多々あるのです。

(ちなみにLDやADHDは広汎性発達障害に入りません。)

尚、
発達障害と言うのは『先天性』のものであり、
家庭環境、学校教育、親の躾によって発症することはありません。

しかし、
家庭環境、学校教育、親の躾によって、
克服可能な面もあり、
早期に発見して早期に適切な対応を始めることが重要です。




☆自閉症

自閉症は社会性や他者とのコミュニケーション能力の発達が遅滞する発達障害の一種です。

↑と言われても殆どのかたはピンと来ないでしょうね。

では、
具体例をあげます。

①『どうやってここまで来たの?』
と質問されて、
『何時何分に家を出て、JR○○駅何番ホームから出る。。。』
と答えてしまう。
(質問の意図が理解出来ない。)

②別れの挨拶の際、
他の人から『バイバイ』と手を振られると、
自分で自分に向かって手を振る。

③冗談を冗談と捉えることが出来ず、
本気にして行動したり、
馬鹿にされたと真っ直ぐに捉えてしまう。

④二人称が上手く理解出来ないで、
自分のことを『あなた』と言う。

⑤協調性、共感性が乏しく、
友達や仲間というものを作ることが出来ない。

⑥子供らしくない言葉使いをする。
(文章を棒読みしてしまう感じ。
話言葉のように適当に崩した喋り方が理解出来ない。)

⑦必要なものを指差すことが出来ないで、
親の手を引っ張ってその物のところまで行く。
(クレーン現象。)

⑧場の空気に合わせて、
適当な表情を作ることが出来ない。

⑨相手の言うことをオウム返ししてしまい、
会話が成立しない。

⑩相手の表情を読み取ることが出来ない。
相手が何故、微笑みかけているのか分からない。

⑪道順や物事の順番などに異常に強い拘りがある。

⑫自分が興味があることにのみ、
非常に強い記憶力や集中力を発揮する。

⑬ごっこ遊びが出来ない。
(お砂場で、砂をご飯に見立てたりが理解出来ない。)

⑭特定の物に対する強い愛着。
それはおもちゃやマニアなものではないこともある。

⑮体を前後に揺すったり、手をヒラヒラ・パタパタ、ぐるぐる回り

⑯視線を合わせない。


とても簡単に言うと、
自閉症と言うのはコミュニケーションや社会性などの、
対人、対社会の能力が著しく損なわれている状態だと言えます。

これらを理解するには三大特徴に分けて考えると分かりやすいです。



自閉症の三大特徴

1. 社会性の発達の障害(対人関係における障害)

* 他の人と関わら(れ)ない、仲間になれない
* 周りの世界に無関心(のように見える)
* 協調・共感が出来ない
 (他人の心の動きを推し量る能力に障害があるため、
 相互の人間関係に疎い、会話やその場の雰囲気を理解出来ない、
 冗談を冗談と受け止めず真に受けてしまう、
 言外の意味を捉えられない 
 など、対人関係に問題を生じやすい。)
* 視線をそらす
* 人の表情や感情を読み取るのが苦手
* 【乳幼児期】おとなしい・手がかからない
・親への愛着が乏しい・呼んでも振り向かない


2. コミュニケーション障害

* 言葉が ない・遅れ(言葉を使って話しかけようとしない)
* オウム返し
* 人称代名詞の逆転
 (他人のすることを自分の立場に置き換えられずにそのまま真似するため、
 手のひらを自分側に向けてバイバイしたり、
 自分のことを「あなた」などの二人称で、
 相手のことを「わたし」などの一人称で呼んだりする。)
* その場にそぐわない言葉、抑揚が無く気持ちのこもらない話し方
* 身振りの意味が解からない
* クレーン現象
(何かして欲しい事を言葉で伝えず(伝えられず)、
 近くの人の手を引っ張って対象物の所まで連れていく行動をクレーン現象と呼ぶ)


3. 想像力の障害とそれに基づく行動の障害(反復的で常同的な 言語・行動、こだわり)

* 局限した興味や関心、自分のルールを曲げない、柔軟性の欠如
* 道順、手順、日課などの決まり事の変更・変化への抵抗
* 体を前後に揺すったり、手をヒラヒラ・パタパタ、ぐるぐる回り
* おもちゃ遊びの不適、ごっこ遊びや物まね遊びの欠如
* 物への不適切な愛着、特定の物・行動に対する執着
* 人が何を考えているのかの推測不能 (他人の心の動きを推し量る能力の障害)

(三大特徴はhttp://homepage3.nifty.com/~mariko/mitu.htmよりコピペ)


また、
これらの症状は、
脳科学的には脳の『ミラーニューロン』の障害と考えると理解しやすく、
心理学的には『心の理論』を考えると理解しやすいと言われています。

次回はこの『ミラーニューロン』と『心の理論』について考えて行きます。
その後『アスぺルガー障害』について詳しくお話をします。



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