随分前に、ホアキン・コルテスの舞台を本国で観てきたという友人の話の中で、最後のカーテンコールの時に急に舞台から消えたのよ、ということを聞いた。

つまり舞台から客席側に落っこちたらしい、、、

でもその友人は「急に消えた」と言っていた。

もしかしたら【視覚】というものは常にほんのちょっとだけ先、つまり未来を映し出しているのかもしれない。

だから踊っている最中に床に転んだりした時も、「気が付いたら床に横になっていた」ということになるのかもしれない。

人間の脳が予測をして観るようにできているのかわかりませんが、ふいな動きの結果などにはついていけないのかもしれない。

もし動き手側と観る手側の時間が同時に進行しているのなら、舞台から落ちる速度なんてたかが知れているし、転ぶ速度だって大したことはないのだからその瞬間に「あっ!転んでいく(落ちていく)・・・」という経過を観察できているはずである。

昔、田舎で山の小道を自転車で走っていた時にバランスを崩してその横の崖から落っこちたことがある。
10m近くあったと思いますが、幸い下はミカン畑で一度木に引っ掛かって柔らかい土の上に落ちたので大事には至らなかったのですが、その落ちていく途中、崖に生える草や石の形などがスローモーションの映像のように見えたことは今でも覚えている。

先日同じような体験を舞台でした。

とある方の伴奏でパルマを叩いている時、その方が床か衣装に足が引っ掛かり転ばれた。

その方からは想像もつかないような軸がぶれた時、『ああぁ!危ない!』と思いしかし何もできなかったが明らかにスローモーションに見え、床に転がり頭が天井の方を向くまでに1分ぐらい掛かったかと思えた。

しかしその公演を観に来ていた友人は後でやはり「気が付いたら床に横になってたのよ!」と感想を申されていた。

但し私はパルマで伴奏ということしていたので音楽的、つまり聴覚的な部分においてその方を観ていた。

もしかしたら【聴覚】というものは演じ手と聴き手側と同時に進行していくのかもしれない。

kaohn


良いアーティストってこの時差を上手くコントロールして、お客様を楽しませることができるのかもしれませんねニコニコ