普段は、2つの金魚鉢で、1つは渚用・1つは水換え用と準備しているのですが、またもや、不運が続き、この日は、朝から水換え用の金魚鉢に0.5%食塩浴の環境で渚を移してしまっていた為、もう1つの金魚鉢は、空っぽでした。
でも。
このまま、0.5%の食塩浴だと、どんどん渚の容態が悪くなっていくと思い、大慌てで、水温を調節した金魚鉢の水の中に液体のカルキ抜きを入れて(普段は1日かけて自然にカルキを抜いて、自然に水温を調節している)0.3%の食塩水を作り、買ってきた薬を教えてもらった通りに入れました。
グリーンFゴールドリキッドは薄い黄色でした。金魚鉢は薄い黄色に染まりました。
そして、この時。
既に渚は左側がかなり傾いて、必死で、『何で、いつものように泳げないの?』という表情で元の状態に戻ろうとしていました。
今…思うと…この、黄色の、慌てて作った薬浴&食塩浴に移動させたことが…一番のあやまちだったのではないかと思えてなりません。急にお水が変わって身体にショックを与えてしまったのではないでしょうか。移動させると、さらに、悪化しました。
黄色の水の底で、渚は完全に左側に傾いて横向きで、バタバタ泳いでいました。
もはや、何も私達にできることはなく、二人で金魚鉢の前に椅子を置き、並んで、ずっと、ずっと、ずっと、見守っていました。
夜には、渚は完全に黄色の金魚鉢の底でお腹を仰向けにして転覆状態になりました。でも、水面に浮いてこないのです。
神経破壊。
内臓破壊。
浮き袋の破壊。
それでも、渚は、仰向けの状態で、黄色の金魚鉢の底を少しずつ、少しずつ、泳いでました。息も絶え絶えに。必死で。生きようと。もがいて。苦しんで。泳いでいました。
私は…これで良かったのだろうかと、これで良いのかと。渚は助かるのか、もう、無理なんじゃないか…そんなこと考えちゃいけない。明日には薬が効いて、転覆状態が治って、次の日には鱗が治るかもしれない。希望は捨てられないし、捨ててはいけない。渚が頑張っているのに、私達が希望を捨てたらいけない。
そこで、つい、再度、ネットで調べ始めてしまったんです。目の前の必死で、もがいている渚から目を離して。スマホを見てしまいました。
わたしは…スマホを見ていたんです。
その、一番、大切な瞬間を。
そして。
ハッとした時には…渚は呼吸をしていませんでした。
何かの冗談だと思いました。
よく、渚は、仕事から帰ってくると、ボーッとしていて、『ただいま』と声をかけると、ハッ!として、ピューン!と泳いで来たから。
渚の名前を何度も何度も何度も叫んで、金魚鉢を何度も叩いて、渚を起こそうとしました。
でも、動いてくれません。
『そうだ!ちょっと、つついてあげたら、いつも嫌がって逃げ出すから、起きるかも!』
優しく渚をつついてみました。
渚の体が…フワッと…浮いて沈みました。
そこからは、よく、覚えていません。
ただ、ひたすら、金魚鉢を抱きしめて、渚の名前を泣き叫んで呼んでいたような気がします。
『早く、渚をここから出してあげよう』
カメ吉が言いました。
頭がパニックでも、心がショックでも、体は存外、理性によって、知識的に、無意識に動くものなんですね。
そうだ、もう、これ以上、細菌に渚を穢されてたまるか。
その一心で、渚の遺体の対応に移りました。
渚は、松かさ病=転覆病で死にました。
つまり、細菌がこの黄色の金魚鉢と渚の体内にいっぱいいるのです。そして、水温は26度。早く渚を出してあげないと、綺麗な身体が傷んでしまいます。
私は…希望を捨てきれなかった。
だけど、心の何処かで、『もしも』の時に対応できるように、調べていました。
その『時』が来てしまったら、どうするのか。二人で話し合っていました。残酷ですが、その時が来たのです。
①金魚鉢を室温の低い場所に移動
②ガーゼ
③ありったけの保冷剤
④アルミホイル
⑤ビニール袋
⑥チャック付きのお魚保冷用の袋
⑦新聞紙
⑧キッチンペーパー
ここまでが、第一段階。
⑴床に新聞紙を敷く
⑵新聞紙の上にキッチンペーパーを敷く
⑶渚を金魚鉢からすくい、キッチンペーパーで、お体から水分をとる
※この時、金魚のご遺体は、網やスコップなどですくうのが主流のようですが、私達には、できませんでした。網は持ってきましたが…渚を前にして手が動きませんでした。主人が『最期は手で救ってあげよう。可哀想だ。嫌なら俺がやる。』と言ってくれたので、私が、手ですくいあげました。病原菌という観点をとるか、感情をとるか、それは、ひとりひとり、違いますので、ご自分にあったやり方で、ご遺体をすくいあげてください。
⑷ガーゼでご遺体を包む(この時、『包む』というよりは、二枚使います。一枚は下に、その上にご遺体を乗せ、ご遺体の上にもう一枚のガーゼを被せます)
⑸アルミホイルで包む
⑹ビニール袋に保冷剤を入れて、ご遺体の入ったアルミホイルを保冷剤の真ん中に優しく置く
⑺ビニール袋を保冷剤とご遺体ごと『厳重』に封をする
⑻さらに、お魚保冷用の袋にそのビニール袋を入れて、チャックをしっかりする。
⑼冷凍庫で保管。
以上になります。
夜に亡くなったので、すぐに、埋葬することができなかったので、人間でいうと『霊安室』です。
『冷凍庫で保管』は、ここでも、衛生上の問題が発生します。衛生上をとるか、感情をとるか、だと思います。だから、冷凍庫に関しても、お一人お一人にあった方法で埋葬するまでの間、別の方法を取り入れてくださいね。
ただし、私達が全く衛生管理について無視しているというわけではありません。
大切な家族のご遺体を、どれだけ美しく保ち、そして、自分達にとっても不衛生にならないように、厳重に、霊安室(冷凍庫)で眠って貰える工夫は最大限考えたつもりです。
…ただの魚の保冷じゃねぇか!!
みたいな感じになっちゃってますけどね(苦笑)
何故、『送り人』の部分まで書いたのかというと…【書いている人がいないから】です。
その時の為に調べていて分かったこと。
それは、金魚が死んだ後にどうしたらよいのかが、質問は沢山あるのに、明確な答えがない、埋葬の仕方なども弾丸論破【ダンガンロンパ】(※真面目な話なのに、ごめんなさい。ゲーム名です)状態なんです。
私が小さい頃などは金魚はお庭に埋葬するのが一般的だったと思います。または、私は小さかった時、父が、自宅前のポプラの木の下に埋めました。
しかし、今のご時世、お庭がある御宅も少なく、また、父がやったような方法も、公的な場所に埋めた・流す等=不法投棄となるのです。
だから、金魚の埋葬方法でダンガンロンパが起こるんですね。それぞれの環境で、それぞれの事情があって、それぞれの感情があるから。
だから。
私は渚が命をかけて教えてくれたことを、全て、惜しみなく、たとえ、反感を受けたとしても、お伝えします。
次回は、『金魚の埋葬方法』についてお伝えします。