駆逐艦松は、松型1番艦として1944年4月28日就役。
松が訓練中の6月15日、敵はサイパン島に上陸。
大本営陸海軍部はサイパン増援作戦を決定。
具体的な検討中にマリアナ沖海戦で
小沢機動部隊は惨敗。
この作戦失敗によりサイパンを取り巻く
敵艦隊を駆逐することが不可能となり
6月25日、サイパン島救援作戦は中止になりました。
同島救援作戦のため準備されていた陸軍部隊は
小笠原諸島や硫黄島に転用されることになり、
松が所属する十一水戦、第五艦隊の軽巡その他、
輸送船と高速輸送艦で、小笠原諸島や硫黄島への
増援輸送を実施することになりました。
増援艦隊は6月28日早朝、横須賀を出港し
父島に・硫黄島に部隊を輸送。
7月2日-3日にかけて横須賀へ帰投しています。
その直後の3日-4日にかけて敵機動部隊は
小笠原・硫黄島を空襲し、航空戦力や停泊艦船は
大被害を受けてしまいます。
松らはふたたび硫黄島への輸送任務に就きます。
幸い敵が引き上げた後なので、任務を終了し無事に帰投。
7月16日、硫黄島方面輸送部隊は再編され、
松・ 旗風・第4号輸送艦・第204号特設輸送艦・
第152号特設輸送艦と共に第3718船団を編成。
旗風
特設輸送艦
7月29日、空母瑞鳳が小笠原諸島まで船団護衛に付き
他に丁型海防艦2隻らと共に輸送船5隻を護衛します。
丁型海防艦
8月2日、輸送船団は父島に入港し、翌日硫黄島へ進出。
硫黄島に到着後陸軍部隊・軍事物資を揚陸させ
即座に帰路に付きます。
帰路は輸送船団は4804船団に改称。
敵機動部隊は再び小笠原に接近。
4日午前8時に攻撃隊を発艦させます。
攻撃隊は午前10時頃に硫黄島を攻撃。
10時40分頃、父島が攻撃を受けました。
硫黄島のレーダーが接近する攻撃隊を探知。
この報を受け、船団は慌てて父島を出航。
船団速度わずか9ノットしか出ず、
出港して1時間後には敵機に捕捉・攻撃を受けます。
第2波まではなんとか沈没船を出さずに済んだのですが
16時頃からの第3波でついに輸送船4隻が沈没。
健在なのは、松・第4号海防艦・利根川丸の3隻のみ。
第3波攻撃隊からこの3隻の生存の報告が入り、
敵は機動部隊から軽巡3・駆逐艦12で編成した
追撃隊を向かわせます。
軽巡ビロクシ
軽巡サンタフェ
軽巡モービル
18時過ぎ、軽巡部隊は4804船団の残存艦を発見。
18時30分、砲撃開始。
松座乗の第二護衛船団司令官高橋少将は、
第4号海防艦に利根川丸を護衛しつつ早急に離脱を命令。
松はこの2隻を逃がすための時間を稼ごうと反転、
敵艦隊に向かっていきました。
しかし多勢に無勢、松はボコボコに叩かれ沈んでいきました。
就役以来わずか三ヶ月の艦命でした。
松が身を挺して護ろうとした利根川丸は、
サイパン島から飛来したB24の夜間爆撃をうけ、
被弾して沈没してしまいました。
利根川丸
B24は夜間爆撃のためあまり低空には降りてこれず、
中空域からの爆撃を実施。
低速の利根川丸だからこそ、命中弾を与えれたけど
機敏に回避行動を取る第4号海防艦に命中させることが出来ず、
取り逃がしてしまいました。
また第51号駆潜艇と駆逐艦旗風も内地にたどり着いています。
この件により、硫黄島方面への増援輸送は激減します。
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