沖縄方面での最後の特攻作戦、菊水十号作戦の戦果は小艦艇3隻を沈めただけや!!の巻 | 第伍章「あっそう、ふ~ん!!」

第伍章「あっそう、ふ~ん!!」

主に戦史について取り上げてますが戦史には諸説ありますので、明らかな誤記以外はご容赦を!!

1945年6月23日、
 
沖縄での組織的戦闘は終わりを告げました。
 
これを受け沖縄方面への
 
特攻作戦は最終局面を迎えます。
 
 
※これ以降散発的な出撃はありますが、
 
大規模な作戦は菊水十号作戦が最後となります。
 
 
21日に菊水十号作戦と
 
第十一次航空総攻撃が発令され、
 
22日までに特攻機67機を投入します。
 
 
21日19時半頃、鹿屋基地から
 
こっそりと白菊2機が飛び立ちました。
 
向かうは沖縄海域。
 
練習機である白菊が
 
菊水第二白菊隊としての出撃です。
 
 
 
 
 
 
白菊は普通数機~30機程度の編隊で出撃します。
 
特攻機は当初大編隊を組んで出撃していました。
 
それと言うのも、
 
まずは特攻機搭乗員の錬度不足から
 
洋上航行が不慣れであり敵艦を捕捉できずに
 
引き返してくるか、あるいは燃料切れで
 
墜落するケースが後を絶ちません。
 
 
そのため、いち早く航路計算ができる隊員をまぜて、
 
その機に他の機が追随する形を取っています。
 
 
それと、敵の迎撃機に遭遇しても
 
数が多けりゃそれだけ敵機の目をすり抜けて
 
敵艦隊の上空まで到達できると踏んでたからです。
 
 
小魚は群れを成すことで、イルカやサメなどの
 
攻撃から身を守ろうとします。
 
いくらかは犠牲になろうともその方が
 
単独で行動するよりよっぽど生存確率が
 
高いからです。
 
それとおんなじ論理ですね。
 
 
 
 
 
 
しかし編隊が大きくなればなるほど
 
敵のレーダーに引っかかりやすく
 
迎撃機が数十機以上で待ち構えてるため
 
全滅する隊が増えてきてます。
 
 
 
 
 
 
それゆえ菊水作戦後半では
 
数機以下の小グループでの編隊で、
 
しかも時間差での出撃に代わっていきました。
 
 
それなのに、今回は2機のみの出撃です。
 
隊長の古賀一義中尉の腕に
 
どうやら賭けたようです。
 
 
5月27日深夜に鹿屋と串良から菊水白菊隊の
 
白菊20機を時間差出撃させ、
 
レーダーピケット任務の駆逐艦ドレクスラーに
 
2機突入しこれを轟沈させました。
 
その時の敵艦の無線が平文で救援要請を打ってるのを
 
五航艦司令部が傍受。
 
敵の狼狽ぶりが手に取るようにわかると、
 
メッチャ喜んだそうです。
 
裏返せば幹部は白菊隊になんの期待も
 
持ってなかったと言えますね。
 
だから予想外の戦果に喜んだわけです。
 
 
 
ドレクスラー
 
 
 
これに味を占めた五航艦司令部は
 
再び白菊隊に出撃を命じたんです。
 
 
21日23時半頃、今度は指宿から
 
神風特攻十二航戦水偵隊の
 
水偵8機が飛び立ちました。
 
 
 
 
 
 
白菊は練習機ゆえ、
 
鈍足で防弾装備もありません。
 
その上25番を抱いていくのですから
 
もうヨタヨタ状態の飛行です。
 
水偵は白菊に比べればまだ
 
発動機の馬力はありますが、
 
なんせ下駄履きゆえに空気抵抗が大きく、
 
あまり回転数を上げると
 
当時の劣悪なエンジンオイルのせいで
 
オーバーヒートしてしまい
 
最後まで到達できません。
 
 
それでも両隊は踏ん張りながら沖縄を目指します。
 
 
 
 
 
 
月齢10の中、本島北西海域で敵艦を発見し突入します。
 
護衛駆逐艦ハロランに1機至近。
 
水上機母艦ケネス・ホワイティングに1機至近。
 
 
 
ハロラン
 
ケネス・ホワイティング
 
 
 
高速輸送艦バリーは、
 
菊水七号作戦で特攻機が命中し
 
かろうじて浮いてはいるけど
 
スクラップと診断されました。
 
敵の司令官はこの艦を単に沈めるのではなく
 
デコイ(囮)として使用することを思いつきます。
 
 
 
バリー
 
 
 
特攻機の進路を予測し、
 
レーダーピケット艦の前面に押し出します。
 
そこへ特攻機が襲来しバリーとそれを曳航してた
 
中型揚陸艦LSM-59に命中し、2隻は沈みました。
 
曳航中のLSM-59の乗員に多少犠牲者が出ましたが、
 
バリーは無人のため犠牲はゼロです。
 
 
 
LSM-59
 
 
 
翌22日には、
 
鹿屋から神雷爆戦隊の爆戦8、
 
神雷桜花特別攻撃隊の陸攻6、
 
串良から徳島第四白菊隊の白菊6、
 
都城東から27振武隊の四式戦6、
 
179振武隊の四式戦5が
 
それぞれ飛び立っていきます。
 
 
 
 
 
 
水上機母艦カーティスに1機命中。
 
中型揚陸艦LSM-213に1機命中。
 
掃海駆逐艦エリンスに至近。
 
戦車揚陸船534号に至近。
 
 
 
カーティス
 
LSM-213
 
 
 
本土の特攻機に使用できる稼働機が
 
菊水七号作戦辺りから底を付き出し、
 
練習機や水偵なども投入されました。
 
 
 
菊水十号作戦では、
 
作戦機271機のうち特攻機67機を投入。
 
戦果は撃沈3
(駆逐艦1、輸送駆逐艦1、中型揚陸艦1)
   
撃破7(水上機母艦2、駆逐艦3、
戦車揚陸艦1、中型揚陸艦1隻)
 
などの小艦艇に留まっています。
 
 
 
 
 
 
大本営では菊水作戦終了後本土決戦に向け、
 
特攻機の出し惜しみをし出します。
 
 
 
この程度の戦果しか得られなかったという事は、
 
やはり敵将の方が一枚も二枚も
 
上手やったという事でしょうか。
 
 
ほんまやったらほかしてまうようなスクラップ艦を、
 
デコイに使うなんざ誰も思いつかんもんなぁ。
 
 
 
 
 
 
皮肉なことに、
 
無人のバリーに6機もの白菊が突入し
 
菊水作戦最後の沈没艦と言うわけです。
 
 
 
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