伊号潜による敵国本土の砲撃と言うと、
1942年2月23日に伊17による
エルウッド石油製油所への砲撃、
6月20日の伊26による
バンクーバー島への砲撃、
21日の伊25による
フォート・スティーブンスへの砲撃
が良く知られていますよね。
ところが、伊号潜が敵国本土を砲撃したのは
米国だけではないんですね。
豪州もまた標的となっています。
1942年5月31日夕刻、
シドニー沖まで静かに進出した
5隻の伊号潜から3艇の甲標的が発進します。
うち1艇が湾内に侵入し魚雷を発射。
1隻を沈めましたが3艇とも
帰艦できませんでした。
この攻撃の後、伊21はシドニーの南の
ニューキャッスル沖に進出し、
6月8日夜半に浮上。
ドックと製鉄所を目標として34発を発射。
しかし炸裂したのは3発のみで、
残りは不発でした。
伊24ははそのままシドニー沖に
留まり通商破壊に従事。
6月3日夜、豪貨物船エイジを砲撃で撃沈。
その1時間半後に豪鉱石運搬船
アイアン・チーフテンを
砲撃及び雷撃で撃沈します。
敵の警戒が薄いと判断した伊24は
7日にシドニーに向けて
艦砲射撃を行いました。
放った10発の内炸裂したのは
4発のみでした。
僚艦とも不発が多かったのと、
与えた被害は極めて軽微でしたが、
豪州軍に与えた心理的効果は
大きかったと言えます。
伊27はメルボルン沖に進出し
通商破壊を行い2隻を撃沈しています。
伊号潜共通に搭載されている
40口径14cm単装砲(画像は伊402)
米本土を砲撃した
伊17艦長原田毫衛中佐と
伊24艦長花房博志中佐は
それぞれ海兵の51期と
52期でかつて知った仲。
花房艦長は原田艦長の
米本土砲撃の一報を耳にし
ひょっとしたらライバル心が燃え上がり、
シドニー沖での通商破壊だけに終わらず
砲撃まで加えたのかもしれませんね。
残念ながら…、
伊17は1943年8月19日、ニューカレドニア ヌーメア湾
伊21は1944年2月4日、マーシャル諸島方面
伊24は1943年6月11日、アッツ島東方
伊25は1943年9月下旬、バヌアツを飛行偵察した後行方不明
伊26は1944年10月24日、レイテ島東方
伊27は1944年2月12日、モルディブ諸島南西沖
それぞれ沈んでしまいました。
残念です…。