敵は特攻攻撃に対し、すでに
「特攻機の技量は極めて未熟！しかし効果および
艦艇の喪失と被害の割合がきわめて高い」と、
このように特攻隊員の技量を分析しています。
特攻攻撃を未然に防ぐために、
沖縄周辺海域にレーダーピケット艦を多数配置し
ならびにいつ襲ってきてもいいように
早期迎撃態勢を整えて、沖縄への作戦を遂行しています。
しかしこのような迎撃態勢をもすり抜けて
来襲する特攻機に被害も出ています。
敵はこれまでマリアナ各基地のB29を
中島飛行機武蔵野工場等の軍需工場や
軍の基地への爆撃に使用していましたが、
日本の軍需産業の根底を支えてるのは
家内制手工業であるとして、
「一般家屋も軍需工場の一部である」との判断から
都市部への無差別爆撃へ移行していました。
敵は今、日本の都市部への戦略爆撃を停止してでも
九州各地の特攻基地への爆撃を行おうとしています。
特攻基地を叩けば特攻機の来襲を
減らせれるとの判断のようですね。
これにより4月上旬から延べ2000機のB29が、
宇佐基地
宮崎基地
出水基地
第二国分基地
串良基地
鹿屋基地
志布志基地
知覧基地
指宿基地
我軍の電探装置は、敵のに比べれば
その性能に大きく水を開けられていますが
八丈島の基地はいまだ健在で、
B29の編隊の接近を捉えています。
この情報は東京経由ですぐさま
九州の各基地にもたらされ、
特攻機を退避させ隠匿に成功します。
無蓋掩体壕レプリカ（知覧）
4月27日には、約260機をもって
九州各地の航空基地を攻撃しています。
この時相当数の爆弾を投下しましたが、
被害は最小限にとどめられました。
滑走路に出来た弾痕は、住民総出で復旧し
翌日の作戦行動に支障がないようにしました。
しかし敵もさるもの、
爆弾の中に時限式の物を混ぜ
復旧作業の遅延を狙ってます。
それが作業中に爆発し作業員に被害が出る
事象も発生しました。
この空襲は特攻作戦全般を止めるだけの効力はなく、
作戦はこれからも続いて行きます。
4月28日出撃した神風特別攻撃隊正気隊
4月28日、串良基地から出撃する白鷺赤忠隊の九七艦攻。
滑走路の脇では、女性や子どもたちが手を振って見送った
5月4日に出撃した第18振武隊
4月28日、ミズーリを飛び越えてヨークタウンⅡに突入する爆戦
このように敵空母まで到達する特攻機はまれで、
その大半は迎撃機の餌食になるか
レーダーピケット艦に突入してしまいます。
B29の航空基地への空爆は、
あまり効果がないとして
5月中旬には終了してしまいます。
ただ九州へ向かったB29の編隊の中には
九州の各都市への空爆を行っており、
この間のB29による鹿児島への空爆は
4月1日・21日・5月12日の3回ありました。
先ほど述べた時限爆弾も多く混ぜられて
B29が去った後に爆発して
市民に犠牲者が出ています。
画像は6月17日の空襲後のもの
炎上する鹿児島駅
戦術爆撃終了後も鹿児島へは終戦まで
4回の空襲があり、合計8回の空襲で
約3300人の死者と約4600人の負傷者が出、
市街地の93パーセントが焼失してしまいました。
「兵隊さん、仇を討って！」と救助に来た兵士に
最期の言葉を残し亡くなった方もおられるとか。
鹿児島市みなと大通り公園には、
6月17日の空襲をはじめ計8回の空襲で
犠牲になられた方の霊を弔う慰霊碑
「人間之碑」が1971年に建立され、
毎年6月17日に献花式が行われています。
