針金師フーテンの日々☆スイス・チューリッヒ・ニーダードルフ物語 -2ページ目

針金師フーテンの日々☆スイス・チューリッヒ・ニーダードルフ物語

ヨーロッパでスイスはチューリッヒでの路上テキ屋物語、ドロップアウトした青春ストーリー

 

 

 



嘘も方便。

シナイ半島と死海、悪ガキ連中も行きます。

オフェールは葉っぱも持っていくようだ、楽しみ。
兵役の合間をぬってアディ(Adi)もライフル片手に参加する。

アディの場合は我々ボランティアのボディガード役なのだろう、
そしてもう1人現役の兵隊が護衛で参加とは力強い。

ラジカセも持って、カセットも全部持っていこう、アディはウイスキーも
お母さんからと言うことで持っていく、それも大事そうに衣類にくるんで。

シナイ半島のビーチと砂漠ですから、現地では買えません。

寝るのは全て野宿です、これはキブツの旅行ではいつもそうなのです。
寝袋にくるまり大地のベッドに寝る、これ、キブツ流の宿泊、
母なる大地の胸に抱かれて夜を過ごす、粋な宿です。

食事は全て自分達で作ります、プロパンガスボンベから薪、水、食料、
全てはバスの屋根の上に積んであります、さあ今日の野営地はこの辺か、
となります、バスの屋根からそれらを全部下ろして、野菜をきざむ人間、
鍋で豆を煮る人、野営の焚き火を燃やす人間、みんなで手分けしての作業、
そして食事、そんなワイルドな旅行になるのです。

エルサレムの街も連れて行ってもらったし、ゴラン高原も行ったし、
砂漠のオアシスも連れて行ってもらった。

残っているのはシナイ半島しかない、それと死海、ここは塩分の濃い湖、
あまりに濃すぎ、体が浮いてしまって泳ぐに泳げない。

そんな砂漠ばかしのシナイ半島なのだけど、熱帯魚の世界的宝庫でも
あるようです、旧約聖書のストーリーが頭に入っていたら、何かと
感慨深い地であろう。

夜空の下で波の音を聞きながら、持っている「喜多郞」のシルークロードでも
聞いたら、幻想的だろうな、と。

そんな明日を楽しみに部屋に帰って、荷物をまとめていたら、ドアがコンコン。
ギラ(Gila)が来て、
「yoshi、チョッと話したいことがあるから」と呼ばれました。

そしたら、
「キブツの中でハシシを吸ったことがあるかどうか正直に答えろ」と言う。
この質問には困りました。
吸ったことがあると言ったら、明日からのシナイ半島旅行は連れて行って
もらえないのでは、と感じました。
こういうタイミングでそんなことを聞かれましたから、何で今? と思った。

正直に答えろ、これが私には困った。

ギラ(Gila)はボランティアの管理人、それもとても優れた管理人ですから、
そうしたモノを誰が手に入れ、吸っているかの情報は全て持っているわけです。
しかし、キブツ内部で吸ってはいけないと言っても現行犯もしくは本人の自白、
それがないとギラとしても処分は出来ないわけです。

もし私が正直に答えて、
「吸いました」と言ったら、自白です。
それだけで即、ここキブツ「KABRI」から出て行きなさいと言えるわけです。

私は嘘も方便、イスラエル流のそれを使うことにしました。
正直に答えろって質問に対して、嘘をギラ(Gila)につくのはイヤでしたけど、
「No」私はキブツの中でハシシは吸ったことはないと答えた。

だけど、そういう質問を、単刀直入に、こうしたタイミングでする、って
身の危険を感じた、こうなったらまな板の鯉だ、ギラには気をつけよう。

 

――つづく――