「ここの通りにぎやかですネー」
「ウン、毎晩こんな感じで楽しいところサ、ヒッピー仲間もいるしネ」
路上パフォーマンスやテキ屋が列をなし、彼らを見物しているだけでも
ニイダドルフの夜は楽しいのです。
「ほら、向こうの人だかり、南米の音楽をやっているんだ、上手いヨー」
しばらく彼らの演奏を聞いた後、チップを投げ入れてあげた。
すると「hi yoshi...!」パペット人形を売ってるアランが声をかけてくれ、
「hi Alan How yuor business? 」 「So So ... not so bad!」――
「yoshi さんは、お友達がいっぱいいるのですネー」と慶は驚いた様子。
「彼? ウン イギリスから来たんだ、何でも彼、白血病なんだって……」
「見て! あそこでギターを弾いて歌ってる彼女はカナダから――」
「hi Rejane! …」「hi yoshi! you looks so happy! what happening?」
イヤリングを売っているレジャーンに声をかけたら、彼女には瞬く間に
気持ちを見破られてしまった!
イングリッシュ・パブに入り、いつもより心持ち大きな声で
「ツバイ・グローサス・ビア・ビッテ!」とカウンターに頼んだのだー……
楽しい一時も過ぎ、ほろ酔い気分で慶を宿泊先のYWCAに送ってあげたのです。
そこは男子禁制らしく玄関先で楽しかった礼を言い別れました……
するとすぐその後「yoshiさーん!」と辺りに響かぬ声が背後から、慶が静かな
声で呼び叫んだのだよ!
「今、受付に誰もいないから、静かに入っておいでヨー」と……