[ある夏の終わる頃_9」Imagine all the people …… | 針金師フーテンの日々☆スイス・チューリッヒ・ニーダードルフ物語

針金師フーテンの日々☆スイス・チューリッヒ・ニーダードルフ物語

ヨーロッパでスイスはチューリッヒでの路上テキ屋物語、ドロップアウトした青春ストーリー

暑い日差しと、エーゲ海の水平線。

 



海岸の岩棚から見る海、ザワーッと静かに寄せる波は足元にとどき、
波の合間に見せる水面、透明さは青黒く深い海を見せる。

この先、ズーッと先にあるエーゲ海に浮かぶ島々、
もっと先にある、クレタ島、クレタ文明、数千年の歳月……

ロードス島、島なのにあれほどの石の城、城壁、
ヨットハーバーにこれでもかと並ぶ、世界各国から立ち寄り
休むクルーザーの群れ。

国旗を掲げてある、自分の国なのだろう、中で食事の仕度を
している光景、それは普通の家庭で見られる光景と同じだ。
波止場を歩きながら、彼らと目が合い、ニコッと挨拶をされる。

平和だネ、国境もないし。

Imagine all the people Living life in peace....~♪

ロードス島でそんな光景を目にしたのは二年前、
旅人と言うには、あまりに似合わない旅行者、そう、言葉もろくに
話せない、よちよち歩きの新米旅行者だった頃の私。

日本からヨーロッパに飛んできた若者は、海外で初めて英語を
使ってみた、勿論通じるはずはない。
一ヶ月のユーレルパスでヨーロッパを夜行、夜行で早々と
駆け巡り、アテネに着いたのです。

そこで知り合ったカリフォルニア育ちの日本人とエーゲ海の
島めぐりに行った、Ueda君かな、彼も同行者を探していたし、
私もそうでした。

ミロス島、イオス島、サントリーニ島と旅行者が集まるだろう
島々を巡り、多くの若者が集まるレストラン、安宿、ビーチには
アメリカ、そしてカナダ、ヨーロッパからの若者達でいっぱいです。

交わす言葉は英語です。

Ueda君は中学からカリフォルニアに移り、大学も終わって、
そんな年齢で旅に出たと、そして、先はインドまでとの計画。
英語はカリフォルニアなまりが出るくらいによく話せる。

英語が話せたら楽しい。

彼らから、話しかけられます、どこから、日本から?と
食事をしていても、宿で顔を合わせても、コーヒーを飲んでいても、
島では、人の集まる場所が限られてまして、行く場所は
さほど無いのです、そして何度も同じ顔に出くわす。

一度、島に降りると次の船が来るまでには3~4日かかる、
週に二便だったかな。

だから、会話が出来たらとても楽しい、暇だからネ、
会話をする時間も沢山ある、顔見知りになる……しネ。

レストランで顔見知りの連中と会う、Ueda君はよく話すし、
場が盛り上がれば皆で笑える、だけど私は話してる内容さえ
よく聞き取れない、そう、生の英語だ、とても無理。

場が盛り上がってるとき、分からなくても作り笑いもした。
しかしそんな時、ほとんど能面のように何を考えているのか
分からない日本人と、私は映っただろう。

時々、Ueda君はその場の話題を日本語で説明もしてくれたが、
そうされて、首を振り笑顔を作ることが辛かった。

私は彼らと楽しい時間をシェアーすることは出来なかった。

Imagine all the people Sharing all the world....~♪

それは辛かった。

二年間が頭の中でよぎる、ヤエールとの数日間を思いニヤっとする。

青い空、生命の起源、海。水の星、地球。
モトやんのセッティングは最高、ここにいる仲間が楽しいのか、
「赤い星」の新鮮な感動は続く、波はきらきらと光り輝き、
裸の大将達、彼らの水との戯れ、泳ぎ遊ぶ姿をカメラに収めたいと、
持ってこなかった事がとても残念。

天国も地獄も国境もそんなのはない世界を想像してごらんよ……
頭の中で「イマジン」のメロディがづっと流れ続けていた。


―続く―