生まれてから会った事もない叔父、
叔母を訪ねに出かけたヤエールの事を考える、
我々日本人とは家族の結びつきの違うユダヤ社会、
宗教の、家族の、そもそも基盤が違うのだろう。
さて、スイスの豪遊連も集まった、私もその「赤い星」とは何ぞや。
少しはずれに部屋を確保してある、塩さん仲間のオンボロアパート、
壁にはプリンっとチョッピり可愛いヒップの見えた健康少女、
テニスラケットの大きな宣伝ポースターが飾ってある。
裸電球と小さなテーブルとベッドと……マア何もないが、
外に出ると気持ちいい、ベランダというか、
白壁に覆われたスペース、
椅子がいくつかあり、コーヒーでも飲みながらノンビリ読書なら、
一日はすぐ過ぎてしまいそうな、静かな空間。
「ヨッさん、初めてかこいつ?」とモトやん。
「だったら、とりあえず、1つ行ってミー」
言われるままに、1つ行ってみた、
豪遊連は勝手知ったるその道、
誰の世話にならなくても舞い上がれるようだ。
モトやんは少し変わった、いや本人はまともな人間で、
我々を変わった人間だと思っているのかも。
「いいか、お前ら、金や女のことばかり考えとらんでナ」
と高飛車に悟った高僧のような面もある、
しかし我々にそんなものを、わざわざアムスまでいって、
土産として持ってきてくれる、いい奴だ。
1時間して、私の様子を「どうや?」と瞳孔チェック……
「もう1つ、行ってもよさそうや、いく?」と追加を、
こういう時はとても面倒みがいいし、
先生、指南役ってところか。
前の年の冬だったか、次ぐ年の冬だったか、
スイスのアートーゴールダーってキャンプ場で、
バンガローを何人かで借りてまして、
そこにモトやんも入ってきた。
何せ駅から1キロ以上は歩きます、
早足で歩いても20分くらいかかる場所でした、
冬だし寒いし道路は凍ってるしネ。
その時でしたけど、何をどう悟ったのか、駅まで行き帰り、
素足で歩いてました、詳しいことは聞かなかったけど、
大変だったろうな。
づーっと、それで通すのかと思ったら、
一週間くらいで辞めてしまった。
三日坊主よりはましだな、そんなネ、モトやんさ。
そのうちに見つめる裸電球が、
ユラユラと揺るぎだしたかの感覚に襲われる……
周りの壁も次第にグニャーン~と~、
生命が宿ったかと思えるようなリアルさ。
ウン、こんなんで「スターウオーズ」
あんな映画を見たら綺麗だろう。
豪遊連達は、ウン、映画でも見に行ったのか?
いつの間にか部屋は私一人になった。
壁のポスター、Tバックからムチュ~と出ている可愛いヒップが、
ブヨ~ン、グイ~ンっと動き出す。
ワーオ! ウーン~、しばらくそのポスターに
目は釘付けになっていた。
ダイヤを持って空に浮かぶルーシーか~。
Lucy In The Sky With Diamonds~♪
―続く―