[ある夏の終わる頃_7」Lucy In The Sky With Diamonds~♪ | 針金師フーテンの日々☆スイス・チューリッヒ・ニーダードルフ物語

針金師フーテンの日々☆スイス・チューリッヒ・ニーダードルフ物語

ヨーロッパでスイスはチューリッヒでの路上テキ屋物語、ドロップアウトした青春ストーリー

生まれてから会った事もない叔父、

叔母を訪ねに出かけたヤエールの事を考える、

我々日本人とは家族の結びつきの違うユダヤ社会、

宗教の、家族の、そもそも基盤が違うのだろう。

 



さて、スイスの豪遊連も集まった、私もその「赤い星」とは何ぞや。

少しはずれに部屋を確保してある、塩さん仲間のオンボロアパート、
壁にはプリンっとチョッピり可愛いヒップの見えた健康少女、
テニスラケットの大きな宣伝ポースターが飾ってある。

裸電球と小さなテーブルとベッドと……マア何もないが、

外に出ると気持ちいい、ベランダというか、

白壁に覆われたスペース、
椅子がいくつかあり、コーヒーでも飲みながらノンビリ読書なら、
一日はすぐ過ぎてしまいそうな、静かな空間。

「ヨッさん、初めてかこいつ?」とモトやん。
「だったら、とりあえず、1つ行ってミー」
言われるままに、1つ行ってみた、

豪遊連は勝手知ったるその道、
誰の世話にならなくても舞い上がれるようだ。

モトやんは少し変わった、いや本人はまともな人間で、

我々を変わった人間だと思っているのかも。


「いいか、お前ら、金や女のことばかり考えとらんでナ」

と高飛車に悟った高僧のような面もある、

しかし我々にそんなものを、わざわざアムスまでいって、

土産として持ってきてくれる、いい奴だ。

1時間して、私の様子を「どうや?」と瞳孔チェック……
「もう1つ、行ってもよさそうや、いく?」と追加を、
こういう時はとても面倒みがいいし、

先生、指南役ってところか。

前の年の冬だったか、次ぐ年の冬だったか、

スイスのアートーゴールダーってキャンプ場で、

バンガローを何人かで借りてまして、

そこにモトやんも入ってきた。

何せ駅から1キロ以上は歩きます、

早足で歩いても20分くらいかかる場所でした、

冬だし寒いし道路は凍ってるしネ。

その時でしたけど、何をどう悟ったのか、駅まで行き帰り、

素足で歩いてました、詳しいことは聞かなかったけど、

大変だったろうな。


づーっと、それで通すのかと思ったら、

一週間くらいで辞めてしまった。
三日坊主よりはましだな、そんなネ、モトやんさ。

そのうちに見つめる裸電球が、

ユラユラと揺るぎだしたかの感覚に襲われる……

周りの壁も次第にグニャーン~と~、

生命が宿ったかと思えるようなリアルさ。

ウン、こんなんで「スターウオーズ」
あんな映画を見たら綺麗だろう。


豪遊連達は、ウン、映画でも見に行ったのか? 
いつの間にか部屋は私一人になった。

壁のポスター、Tバックからムチュ~と出ている可愛いヒップが、
ブヨ~ン、グイ~ンっと動き出す。
ワーオ! ウーン~、しばらくそのポスターに
目は釘付けになっていた。

ダイヤを持って空に浮かぶルーシーか~。
Lucy In The Sky With Diamonds~♪

―続く―