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梓紗は眼前に広がる血の海と下卑た笑いを浮かべる薄汚れた姿の大きな男達に取り囲まれ、言い知れぬ恐怖に固まっていた。
血の海と死体の山を作り上げたのは、この薄汚れた男達で間違いない。人を殺めても血の海が広がっていようが平気なのだ。
そんな男達の行動は梓紗にしてみれば狂気の沙汰であり恐怖しか、ない。
血の臭いと男達の不衛生な悪臭に加え、先程から気持ち悪くて仕方ないのはーー下卑た笑いと舐めるような視線だ。
自分に向かって注がれる度、まるで穢されたような気持ちになってしまう。
女を眼前にし卑猥な笑いをあげる男達の目的はひとつだ。梓紗は声を上げたいのだけれど恐怖から喉に張り付いた声は言葉の形をなしてはくれない。
焦りを覚えながらも何とか歯を食いしばり勇気を奮い起こそうと目の前の肉欲に溢れた欲望を隠そうともしない男達を梓紗はキッと睨み据えた。
目に力を込めると、目の奥から熱い涙が込み上げてきて溢れ出そうになる。けれど、泣いては男達をますます喜ばせるだけだろう。喜ばせてなるものか、と梓紗は歯を食いしばり唇をキツく噛む。
あまりにもキツく噛んだ為か口の中にじわりと鉄の味が苦く広がり、その苦さと眼前の恐怖に梓紗は顔を歪めてしまう。
「顰めた顔も可愛いな。」
男達から「お頭」と呼ばれている一際大きな体の男が梓紗へと煤けたような手を伸ばしてくる。
「………来なぃ…でっ!!………」
やっと出た声は頼りなくも地に落ちていく。梓紗の頬を熱い涙が伝い、唇には血が滲む。
「おいおい…姫さん、そんな顔して見せたら
止まらなくなっちまうだろうがよ。」
涙が頬を伝い、血が滲むほど唇を歯で食いしばりながらも涙目で睨み据える女の顔を見て、止どまるどころか、煽るな、などと言うなんて…
目の前の「お頭」と呼ばれている、この男は狂っているとしか思えないーー
梓紗は両手で自分の身をぎゅっと抱きすくめ固く膝を閉じ身を硬らせる。
「今から気持ちよくしてやるから、な。」
土なのか汚れなのか分からない薄汚れた男の指先が梓紗の身体に伸びてくる。
「………ぃや…ぁっ!!!!!!………」
声を張りたいのに思うようにならない。まるで悪夢を見ていて目覚めてはくれない時のように口を開けども思うように声は出てこない。
こんな狂った男の思う通りにされるなど許してたまるか!という気持ちを込め男を睨み据える。
薄汚れた男の指先が身体に手を掛けたかと思われた瞬間、一陣の風が強く吹き上がり思わず梓紗は開いていた目を瞑った。
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