日本語学習教材には、
日本で日本語を勉強している人を対象に作られているなぁと思うものも多く、
海外で日本語を勉強している人には説明し難い内容になっていることも多々ある。
大学で使っている作文教材の中にあった「国と比較する」というテーマ。
もしわたしたちが、高校の英語の時間に、
「さあ、自分の国とイギリスを比較して、イギリスのいいところ、自分の国のいいところを見つけてみよう。」
なんて言われたって、書けるわけがない。イギリスに住んだこと、ないもの。
英語を勉強していることと、英語圏の国々についての知識は別問題だ。
試しに授業前に学生に聞いてみた。
インドネシアと日本を比べたとき、同じだな~と思うことは何ですか。
山がある。海がある。川がある。地震が多い。伝統文化がある。体型が似ている。
米をよく食べる。
では、違うな~と思うことは何ですか。
食事の味。肌の色(日本人は白い)。目の大きさ。食べ方(インドネシアは手で食べる)。気候。季節の有無。言語の数(インドネシアは地域によって言語が違う。日本は日本語だけ)。
など。間違ってない。どれもいい線いってる。でも、作文を書くとなると、具体性に欠ける気がする。
エリンが挑戦 にほんごできます 国際交流基金日本語国際センター著(凡人社 2007)
イギリスからの留学生エリンが、日本の高校生活、社会生活や伝統文化を体験しながら、日本語を学んでいくDVD教材。他にも「やってみよう」-(ざるそばを食べる映像、浴衣の着付け)の映像や、「海外で日本語を勉強している人へのインタビュー」など、分かりやすい日本語が使われており、内容もコンパクトにまとまっている。
その中の「見てみよう」のコーナーから、休日の公園、いろいろな飲食店、高校生のかばんの中、高校生の携帯電話、高校生の朝、結婚式、アルバイトの8テーマを選び、学生に見せることにした。
例えば、日本の飲食店(回転ずし、立ち食いそば、人気ラーメン店)の映像を見て、
(回転寿司屋で。自分でお茶を作っているのは面白い。でも、何杯も飲む人はいないのか。店の人は迷惑に思わないか。)
(回転寿司屋で。回っている中から好きな皿を選ぶのは面白い。インドネシアのパダン料理も好きな皿から選ぶ。それは日本と同じだけど、日本みたいに回っていたら店の人が楽になると思う。)
(立ち食いそば屋で。食券とか立ったまま食べるとかびっくりした。日本人はそんなに忙しいのか。)
(人気ラーメン屋で。待ってもいいので、おいしい店で食べたい。それはインドネシアも同じ。でも、日本人はきれいに列を作って、本を読みながら待っている人もいた。びっくりした。)
など。映像を見ると、感想が次々と生まれてくる。
正しい日本語で文章を書くことはもちろん大事。
でもいくら正しい文法、正しい文字で書いても、内容がつまらないのでは意味がない、と思う。
自己の知識や思想や意見と言語能力がリンクして、アウトプットできること。
これがわたしが思う言語教育の最終目的地点。
書きたいと思うアイディアを生み出させることは、作文の授業における教師の役割の一つ、かな。
「高校生の朝」というテーマの映像は、朝起きて歯を磨き、朝ごはんを食べ、学校に行く、という一見何の変哲もないような映像。しかし多くの学生が次のことを指摘した。
(日本人は、朝起きて、家の中で家族と「おはよう。」と挨拶をしていてびっくりした。インドネシアでは、家の中でSelamat pagi(おはよう)と声をかけあうことはないから。)
へぇ~そうなんだ~( ゚ ▽ ゚ ;)
他国を知ることは、自国を知ること。
これ、間違いなさそうです。


