びっくりしちゃったよ。 | 働くママ(SOHO編)

びっくりしちゃったよ。

たしか、岩井志麻子さんの『ぼっけえ、きょうてえ』も、なんてことない日常会話で始まる。
今日、聞いたおはなしも、お婆さんが聞き取りにくい方言で旅行者相手に語り始める。ひまをつぶすためのお茶のみ話だ。
 

 

しかし、徐々に話に惹きこまれてゆく。
途切れ途切れながらも、お婆さんが奇妙なことを話そうとしていることがわかってくる。
飾らず、気取らず、気張らず、相手におもねらない語り口が、徐々に聴き手を本気にさせる。

 

 

なに? そのはなし?

 

 

って、思った瞬間に、自分はお婆さんの話をさらに注意深く聞こうと、前のめりになり、表情やしぐさで次の展開を促している。
本気で聞くって、そういうことだ。

 

 

古くて大きな屋敷。だだっ広いが薄暗く湿った座敷にぽつねんと座る老婆。私はその老婆の話に集中し、混乱しつつも先が気になってしようがない。

 

 

語り手と聴き手は、本来、そんなふうに始まったはずだ。
今日は、初めての体験をした。
半村良は好きだったけど、自分で読むのと素話で聞くのは別の体験だ。
今日は格別の、極上の、全身全霊で話を聴くという最高の体験をした。
飽きてきたところに、こんな爆弾を落とされて、いやいやまだまだやめられない。おはなしの会はおもしろい。