斉藤洋さんの『アーサー王の世界』 | 働くママ(SOHO編)

斉藤洋さんの『アーサー王の世界』

毎日やることが多くて。

溜息をつきながら本を開くと、それが面白くて数分後には浄化されている。
最近は、斉藤洋さんの『アーサー王の世界』シリーズが手元にあり、ある瞬間からそれが輝きを放ち始めた。私は本に救われている。

 

 


巨人との戦いは、言葉少なにスピード感をもって驚きの展開が描かれる。光景が理解に追いつかず、混乱と緊迫感を抱く。見事だ。
3巻の最後で、アーサー王は湖の姫に勇気と徳を認められ、エクスカリバー(水界からの贈り物。魔法アイテムだね)を手にいれる。


そこで、アーサー王は、大魔法師マーリンに問う。
「徳どころか、勇気さえもしめすことができなかったのに、なぜ?」


対してマーリンは「その徳は、命懸けで守った従卒によって示されたのです」と応じる。
従卒によって、アーサー王の徳が認められたというわけだ。



「他人は自分を映す鏡」という言葉には様々な解釈があるが、「類は友を呼ぶ」という視点で捉えれば、この場合は、従卒がアーサー王の徳を映す鏡となった。

 

ところで、自分の周囲は同じ価値観を持つ人が集まりやすく、それは意識的に自分が人を選んで親交を深めてきた結果といえる。
他人の言動や行動に感じる好悪によって、自分の価値観は日々更新されてゆくが、それこそが、他人を鏡として自分を観察する、静かな内省的成長を促す方法の一つだ。
他人に流されているうちは掴めず、他人を拒んでいても到達できない。しかし、それは、救済への脱出口でもあり、それに気づくか否かで、快不快や幸不幸がわかれてゆく。幸せは日々の戦いや抗いで得られることもある。


言いかえれば、自分が自分の世界を作っている。相手に自分を視つつ、大事な人であれば、善いほうを目指して励ましあいながら、共に生きる。
善く生きることには、重要な意味がある。
誰も視ていないけれど、自分が一番に視て聞いているからね。

 

その善し悪しを判断し、そこに満足できていなければ、まず自分を変える必要がある。それが、自分のために生きるということだね。