世界最古の子どものためのお話集「パンチャタントラ」、そしてインドから伝わった日本の昔話。 | 働くママ(SOHO編)

世界最古の子どものためのお話集「パンチャタントラ」、そしてインドから伝わった日本の昔話。

まさか「古屋のもり」も?

ああ、「パンチャタントラ」のそれ(「臆病な羅刹」)に、早く出会いたい。

 

 

「パンチャタントラ」は、西暦200年頃にサンスクリット語で書かれた子ども向けの説話集。冒頭に3人の愚かな王子が登場し、彼らに知恵を授けるのがヴィシュヌ・シャルマーという知恵者。彼は半年間をかけて、様々な格言を内包する寓話を王子たちに語る。つまり、アラビアンナイトのようないわゆる枠物語で構成されている。

 

パンチャタントラ (サンスクリット語: पञ्चतन्त्र pañcatantra) は、西暦200年ごろにヴィシュヌ・シャルマーによって作られたインドの説話集。 サンスクリット語で記された。王族の子に対して動物などを用いて政治、処世、倫理を教示する目的で作られた。児童向け書籍としては世界最古のものである。

 

パンチャタントラ - Wikipedia より

 

これは死人(=無知な人)を甦らせる(=賢者の格言による教育)物語。

だから、貴重な宝として世界に広まっていったようです。

 

6世紀頃、ペルシャの王アヌシルバンは、ブルゾーエという医者にインドの山中にしか生えていない死人を生き返らせる薬草を探しに行かせる。しかし薬草は見つからない。医者があきらめかけた時、ひとりの賢者に出会う。

 

賢者は医者に秘密をあかし、医者はインドの王の元でパンチャタントラを書き写しペルシャに持ち帰る。その後、パンチャタントラは様々な言語に訳され、世界に広まってゆき、その国の民話に生まれ変わる。

 

「ブルゾーエというお方、あなたは古くから伝わるこのたとえ話をご存知ないようじゃな。一つ聞かせてあげよう。山というのは賢者のことで、死人というのは無知な人のことじゃ。だから、山で死人が薬草でよみがえるというのは、賢者が愚者を格言によって教育するということで、死者をよみがえらせる薬草とは、つまり賢者が教える格言のことなのじゃ。この格言はパンチャタントラという本の中に書いてある。この本は王様の宝物になっている、だから王様の所に行ってこの本を読み、本当の薬草つまり格言を探すといい。」

 

講演会「パンチャタントラ:世界で最古の子どものお話集」(PDF)より

 

例えば、日本では…

猿の生き肝、ネズミの嫁入り、カメとサギ(今年1月に「空を飛んだ亀」を聞いたばかり!)、古屋のもり、月とウサギ、など。

その時、ここにおられますマノラマ・ジャファさんから頂戴した古代インド説話集の絵本『パンチャタントラ物語』の表紙の絵を見まして、再び驚きました。それは日本の「猿の生きぎも」の絵そのものだったからです。

 

展示会「蓮の花の知恵-インドの児童文学」展示会監修者の鈴木千歳氏の展示概要解説(PDF)より

 

 

今朝知ったばかりの格言を思い出します。

まるで正反対の内容なのですが…

 

When childhood dies, its corpses are called adults. 
〔子供らしさが死んだとき、その死体を大人と呼ぶ〕

“When childhood dies, its corpses are called adults and they enter society, one of the politer names of hell. That is why we dread children, even if we love them. They show us the state of our decay.”
- Brian Aldiss(ブライアン・オールディス)

 

Quote by Brian W. Aldiss_ “When childhood dies, its corpses are called adu...”より

 

 

スピルバーグ監督の映画『A.I.』の原作者でもあるブライアン・オールディスですから、純粋無垢な子どもを賛美する言葉かしら。

子どもらしさの喪失が大人になることだと思う私には理解できず、今も解釈を探しています。

 

 

その点、今日得た格言「山で死人が薬草でよみがえる」は、私を納得させてくれます。私たちは成長するにつれ、純粋無垢で自分の国に閉じこもる敵なしの王様ではいられなくなるのです。本物の虎と戦わないといけないのですから。

 

 

現代は、外見は大人でも成熟していない死人が一定数いるような気がして、物語を失うことの恐怖を少しばかり感じています。

 

 

ああ、そうだ、話題をパンチャタントラに戻しましょう。

さぁ、石の物語、Tripurantakesvara寺院へ!

ワニの背中にのる猿のレリーフが見られますよ。