次回公演のオーディションが始まった。
うちの劇団は、劇団員でも、演技がつたなければ、また、イメージと合わなければ落としてしまうので、皆、必死だ。
パッと見、ずいぶん穏やかな感じで、和み、とてもオーディションとは思えないほどの、なあなあの雰囲気を醸し出してはいるが、それば僕には内面の反転だと伺える。緊張を悟られたくないための裏返しの行動だ。
流石にもう10年近くもこうやってオーディションを繰り返していると、そのときの人間の行動と言うものが少しは解るようになる。
案の定、落ちる可能性が高い役者の名を呼び、「じゃあ、この台詞を読んでみて。」と言うと、途端に目の色が変わる。
役者達には悪いが、僕は、この一瞬の緊張する役者の顔が好きだ。スッと何かが引き締まるような顔になる。例え太っててもだ。
オーディションは3月4日まで、今日を合わせて4回ある。その間、この一瞬の緊張する役者達の顔が見れるかと思うと、すごく嬉しくなってしまう。
さあ、みんな思いっきり緊張しなさい。 僕もするから。