天高く馬肥える秋
この歌を耳にするたび、どうしても違和感を拭えないというのが本音だ。
秋と聞けば、焼き芋に目が無い女性が引き合いに出され、鍋の季節とスーパー
には魚介・白菜・つみれ、と様々な具材が並ぶ。
本当に秋になると馬の腹は満たされ、肥える季節となるのだろうか。
あくまでも故事ことわざなるものは、人の世の習わしと生活の便宜から生まれた
ものである限り、馬にも動物にとっても同調できる話ではない。
秋が過ぎれば、過酷な季節か彼らには待ちうける。
不足するたんぱく源の補給と寒気に耐えうる体内代謝が頻繁になってくる。
ここ数日前から、庭先に点在する異様な光景がシビアな現実を証明している。
食いちぎられたヤモリから、小さめのヘビ、カマキリ、子ネズミの死骸を散見する
ようになった。
容疑者は、徘徊出没するノラ猫どもの所業なることは一目瞭然である。
残酷なれど、気色悪いとばかり言っておられない。
黄昏に染まりながら、くすしき生命の営みと自然の万象にしばし瞑目するひとと
きだった。
月しぼみ 軒端の茶トラの 厚コート (詠:にわか農夫)

