みなさんは明治・大正期の代表的な歌人・若山牧水をご存じですか?同時代の友人の北原白秋、石川啄木などと共に活躍し、お酒・旅・自然を愛することを詠んだ名歌が評価されています。「愛酒の日」はそんな彼の誕生日を由来にしています。

今回は、そんなお酒の歴史や和歌を通して、お酒が人々に愛されてきた魅力をお伝えします。

 

お酒の歴史と役割

 

日本酒の起源

日本人とお酒との関係は非常に長く、諸説ありますが、日本酒の起源は稲作が伝えられた弥生時代とされる説や縄文時代にも酒造が行われていたとされる説が有力です。
 

お酒が担った役割

日本では古来より、お酒は神聖なものとして扱われていました。
神様に供えることで豊作や無病息災を祈願し、そのお酒を飲むことで厄を払うなど、お酒は神と人とを結びつける役割を担っていました。
現代においても、お酒はお供えやお清め、儀式などに使用されており、伝統的な側面も見られます。
 

醸造法の確立

奈良時代、中国から米麹を用いた製法が伝わったことで日本酒の醸造法が確立していきます。
そして宮廷内には、行事用の酒を造る造酒司(みきのつかさ)と呼ばれる組織も設けられました。また、この時代の製法が現在の日本酒造りの基礎でもあります。
醸造法とともに飲酒の文化も生まれますが、当時のお酒は貴重なものだったため、飲酒が許されるのは一部の特権階級のみでした。
なお、日本酒の製造過程については「【3月18日はお米の日】日本酒はどのようにして作られる?出来上がるまでの工程についてご紹介」でも解説しているので、あわせてご覧ください。
 

お酒の普及

お酒が庶民にまで親しまれるようになるのは、鎌倉時代のことでした。この時代には物々交換から貨幣経済へと移り、お米やお酒も広く流通するようになりました。そのため、今まで朝廷が行っていた酒造りが縮小され、寺院や神社・一般人による酒づくりが盛んになり始めました。
室町時代には、幕府が酒造りを推奨し、その需要も大きく拡大。酒税は幕府の主要な財源となりました。
 

古文で読み取るお酒との付き合い

 
このように長い歴史を持つ日本酒ですが、その魅力や向き合い方は、当時の人たちが詠んだ和歌から読み取ることができます。
ここでは、奈良時代から若山牧水が生きた明治・大正時代まで、お酒に関する和歌をいくつか紹介します。
 

万葉集

万葉集は、飛鳥時代・奈良時代に詠まれた和歌を編纂した日本最古の和歌集です。貴族から庶民まで、日本各地の人々の和歌がまとめられてます。ちなみに、現在の元号「令和」もこの万葉集から引用しています。
 
令和の語源「梅花の宴(うめのはなのうたげ)」
初春の令月にして 気淑く風和らぎ 梅は鏡前の粉を披き 蘭は珮後の香を薫らす
新春のきれいな月、おだやかな空気と風、梅の華やかさを歌っています。大宰府の長官・大伴旅人の邸宅で行われた宴会で、お酒などを飲みながら梅をテーマにした和歌が詠まれました。お酒が貴重だった当時、大宰府や九州諸国の役人が招かれました。
 

原酒梅酒 300ml/720ml

完熟した梅の果実を原料にフルーティーな香りとともに漬け込み、長期熟成した梅酒です。複数の熟成梅酒をブレンドしていており、絶妙な深みのある甘さとコクが特徴的です。心和らぐ小さな梅花の宴を催してみては?
 

徒然草

「徒然草」は、「枕草子」「方丈記」とともに日本三大随筆の一つに数えられる名作で、一度は聞いたことや習ったことがある方も多いでしょう。鎌倉時代の吉田兼好が作者で、日常生活の中で見聞した出来事について、心に浮かぶまま、連想の赴くままに書き綴っています。当時は、お酒が庶民にも親しまれるようになり、そんな人々を見た感想も徒然草には綴られています。
 
ともあるごとにはまづ酒をすすめて、しひ飲ませたるを 興とすること、如何なるゆゑとも心えず。
なにかあるごとに、まず酒を他人にすすめ、無理やり飲ませることを面白がる人もいるが、なぜそんなことするのか理解に苦しむと綴られてます。
 
百薬の長とはいへど、万の病は酒よりこそおこれ。憂忘るといへど、酔ひたる人ぞ過ぎにしうさを思ひ出でて泣くめる。
酒は百薬の長といっても、多くの病気は酒から起こるものだ。この世の憂さを忘れるというけれど、酔った人ほど、過去の悲しかったことを思い出して泣いたりするものだという歌です。
兼好のお酒への考えは少し辛辣ですが、よくない側面があるのも事実。現代社会でも同じことがいえるかもしれません。
 

若山牧水の和歌

最後に、「愛酒の日」の由来にもなった若山牧水の和歌を紹介します。
 
かんがへて 飲みはじめたる 一合の 二合の酒の 夏のゆふぐれ
お酒を飲もうか、それとも今日はやめておこうか。そう考えながら、飲み始めたら一合空き、そして二合目になっている、そんな夏の夕暮れという歌です。酒飲みであれば、この気持ちよくわかりますね。
 

さいごに

いかがでしたでしょうか。長い歴史を持つ日本酒ですが、向き合い方や感じ方は現代に通ずるものがあるのかもしれません。お酒がお好きな方はぜひ、「愛酒の日」に一杯いかがですか?
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