■猪山家の歴史
少し前に話題になっていたように思う本で、
近々、映画が放映されるらしく、
書店で平積みされていたのを購入してみました。
余り期待していなかったせいか、
相当に面白いと感じてしまいました。
加賀藩の下級藩士である猪山家の
幕末から明治にかけての歴史と共に、
当時の下級武士がどのような生活をしていたのか、
また、江戸から明治への時代の移り変わりを
どのように感じていたのかが垣間見える一冊でした。
この本は猪山家の家計簿と書簡(手紙)から読み取れる情報を
当時のことが分かる他の資料と併せて時系列的に
猪山家の人々の生活を綴っています。
作中には無いのですが、
江戸時代の武士は朱子学を主たる学問にしておりました。
これは朱子学の教えである
君臣倫理を取入れることを目的に、
徳川家康が正学として定めました。
このことにより将軍家に対する裏切りを起こさせないように
下地を作ったのではないかと考えられております。
しかし、この朱子学には少し欠陥ともいえる部分があり、
それは、商行為が蔑まれるべきものとされている部分です。
そのことから、士農工商と言う身分制度で商人が
一番下の身分であるとされていたのかと思います。
そして江戸時代には天下の英才である
田沼意次が排出されるまで、
商人から定期的な税金を取っておらず、
江戸中期から末期にかけては生産量が増えた
米の価格が下がることで武士の生活が苦しくなったと
考えられております。
また、朱子学は儒教の教えを基にしているため、
葬式には莫大なお金をかけることが
孝道であると言う部分が残っていたのではないかと思います。
これは孔子が葬儀屋だったからと言う批判の声もあるようです。
それはそれとして、
この本ではそれらの背景を基に、
多額の借金を抱えた下級武士がどのように
借金を返済する計画をたてたか、
また、その過程で猪山家の人々が出世していく様子を
当時の世相と共に痛快に伝わってくる本でした。
歴史好きであれば読んで損の無い一冊だと思います。
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