スツール?
合っているのか、まちがっているのか、
ファッションに、うとい私には、理解を越えるものだった。
ことあるごとに、ご自慢のスツールの良さを力説しており、マフラーをほめても、いちいち、スツールいいでしょう!と、言い直していたほどだ。
だから、最初の頃は、ストールさんは、スツールさんの時代があった。
工場一の洒落もので、通っていたスツールさんに、悲劇が、起きた。
月に一回、保険屋さんの若い女性が、工場に、やって来る日がある。そんな日は、朝からそわそわして、必ず一人二人は怪我人がでる。
普段は、昼休みに歯を磨く人など、皆無だが、その日だけは、みんなきちんと歯を磨く。近くのコンビニは、その日だけ、ハミガキセットを、多く発注するなど、地域の連携がとれていた。ハミガキが、売り切れて、いたときなど、おやじが使いおわった後の濡れている歯ブラシで、ちがうおやじに歯ブラシが使われるといった、地獄絵図が、繰り広げられた。さすがに、これは、男の世界でもあり得ない。すぐさま、歯ブラシを大量発注を依頼したのは、工場長だったのかもしれない。
いまでは、きちんと、数が行き渡る品揃えになっている。
さて、準備万端に保険ガールを待ち構えていたスツールさんですが、なにやら表情がけわしい。スツールさんの身体に不足な事態がおきたのか?
開口一番。
その汚いストール、くさいですね!!
体は健康なのに、その臭いで回りが不健康になりそうですよ。
と的確なアドバイス。
スツールさんは、さすがに大人。
何もいわずに、その場を立ち去りその日は帰ってこなかった。翌日、真新しい、ストールを巻き颯爽と私どもの前に
現れたスツールさんは、
<やっぱり、ストールは、綺麗が一番だよね!>
と元気なストールさんに戻っていた。
スツールさん、改め、ストールさん。
お帰りなさい!
そして、ラインの穴を開けて、激怒している工場長の元へ、いってらっしゃい!
どうやら、スツール、ストール問題は
ストールに落ち着いたようだ。