いまね~コーラを早く飲んだんだよ。

この文字だけ見れば、なんとも、ほのぼのした、のんきな、会話に過ぎない。
ただ、丸ごとの額からは、脂汗が、にじみ出ている。
からだに、うそついて、無理したことは、やはりひずみがでている。

ひとしきり、声援を浴びたので、座ろうとしたとき。

<みせてもらいなよ~!>

トイレにいた彼女がみてないことを不憫におもい、まわりから、声がかかる。

じっさい、もうむりなのは、丸ごともわかっている。ただ、かなしい男のさがなのか、やはり、女子に楽しんでもらいたい。

(うん!いいよ~!やってみる!)

丸ごとは自分にまた嘘をつき、宣言した。

あと、一本でいい。あと、一本で本当におわる。

また、自己暗示がはじまる。それと同時に、テーブルの空席がないか、目で数えることをわすれない。
また、だれか、いないとか、いわれても、ほんとうに、こまるので、全員そろってないと、意味がない。
トイレも、在室かどうか、赤青チェックをわすれない。

よし、頭数もあってるし、トイレも青だ。

このチェックの時間は、ほんの数秒もかからなかった。

ひとは、死を予感したときに、防衛本能が働くというが、そんなときには、超能力も、発揮されるようだ。

おもむろに、冷蔵庫に、コーラをとりにいく。

もう、できるだけ、キンキンに冷えた刺激物はとりたくない。
からだが、悲鳴をあげている。
弱気な気持ちになっている隣には、
コーヒーメーカーが、やさしく、こちらにむかいほほえんでいるようだ。

つめたいものを一気にのむより、あったかい私で、のんびり一息つきませんか?

丸ごとには、はっきりと、そうきこえた。

もう、飲むのはやめて、コーヒーにきりかえてしまおうかと、頭の中で葛藤していた。
そんなことを、ぼんやり、かんがえて、コーラを選んでいると。

時間をもてあました、三人が冷蔵庫にやってきた。