チャイムの音がなる。
いままで、のんびり、お休みモードになっていたのが、急に、顔が引き締まり、持ち場に散っていく。

私たち、工場の民は、すべて、チャイムの音で、管理されている。

どんなに、話していても、持ち場に戻らなければ、流れてくる製品の流れを、自分が、止めてしまうからだ。

わたしも、自分の、持ち場に戻る。
手には愛用の、使い込まれたガンをもつ。

来る日も来る日も、パネルの芯材に、糊を吹き掛ける。

最初は、遠い昔の、子供の記憶が、よみがえり、手にしたガンを、嬉しそうに吹き掛けたが、あいては、心をもたない、四角い芯材。いくら、至近距離からあてても、雷のように、あとランダムに当てても、

子供の頃遊んでたように、

(うわ~やられた!)

といった、リアクションは、あるわけがない。

あれは、相手があって初めて成立するもので、動かぬ的は、楽しさがない。

それどころか、ふきむらがでてしまうから、ある一定の早さで、四方をまわり、中心にいくという繰り返しだ。

かなしくなるほど、気持ちがふさいでくる。
しかも、この糊は、人体には害があるそうで、わたしは、定期的に、検査をされている。

これほどまで、変化のないしごとを、2日たっても、あきないでいるのが、むりであろう。

唯一たのしかったのは、スパイダーマンが、流行っていたとき、わたしは、工場にいる間だけ、疑似スパイダーマン体験をやれたことだ。

あのときばかりは、童心にかえり、はしゃいだものだ。

やりすぎたせいか、いまは、普通の蜘蛛でさえみるのが、いやになっている。

いつの間にか、お昼のチャイムがなっていた。

ここからは、一分一秒むだにできない。

工場での山場をついにむかえた。