定時になり帰宅する。
残業があるときは残業をするが、バイトを始めてからは、残業が無い方が好ましい。
いち早く帰って、バイトの準備をしたいからだ。
帰るときは、激チャリして帰るのが普通だったが、最近は、若い人とも、
話せるようになったためか、学校帰りの高校生グループと合流する場合があっても、慌てなく
なった。
工場に勤めて、汗にまみれて、身なりも汚い30オーバーが、高校生に近づくのは、気が引けると思い、
変に意識して高校生のチャリグループが、いる時は、無理してペダルをこいでいた。
小グループならまだよいが、小さなグループが点々としている場合は、私は、心臓が悲鳴をあげても
ペダルをこぐ、足だけは緩めなかった。
すごい勢いで追い抜いていくから、何事かと思われていたかもしれない。
ただ、それ以上に照れてしまい、疲れた体にムチを打っていた。
追い抜いたは良いが、開かずの交差点につかまった際は、最悪で、せっかく追い抜いたものが
追いつかれて、私は、各グループの集団に取り込まれる。
先頭にいるせいか、後ろの様子はよくわからない。
私が変に意識していたせいか、指刺されるくらいに、話題にされていたかもしれないが、
煙たがるように、ひそひそ話していたかもしれない。
それともまったく気にも留めないで、無視されているかもしれない。
その当時の真実はわからない。後ろを振り返って確認したすべがなかった。
プレッシャーに負けた、私は、信号が赤にも関わらず、信号を無視して、横断歩道を渡り始めた。
まだ車が遠くにいたため、余裕があったと思われるが、各グループを追い抜いたせいで、足が
がくがくして、うまくペダルに力が伝わらない。
迫りくる車。進まぬ自転車。
私は、こんな意味もないとこで死ぬるんかと覚悟した。
『あぶない!』
私の後ろから聞こえる女子高生の声、背が高かったか、髪が長かったか、やせていたか等、身体的特徴はわからない。
ただ、若い女性の声で、力をもらい、無我夢中でペダルをこいだのだろう。
なんとか危機は去った。
もちろんこんな恥ずかしい思いをしたので、後ろは一切見ていない。
そんなこともあり、毎日無茶をしているわけにはいられないと思っていた所に、学生に対する、免疫も
ついてきたのが私には、かなりのプラスになった。
実際、それ以降、帰宅の際の激チャリは、控えている。
レベルアップは、ちゃくちゃくに進んでいるようだ。
ただ、自転車だけは、母の自転車を借りる様にしている。
自転車の特徴で、帰り道に、あの時の、事故りそうだった30オーバーだと、気づかれない様に。