[ね~え、上から?下から?]

[どっちだよ~?]

きたろうは、しつこい。ただ、あいては、目にもとまらぬ、早業の持ち主。
一瞬で、イヤホンを装備するほどの、上級者だ。まだ、私たちの知らないスキルを有する。有段者かもしれない。

きっと、あのイヤホンには、曲はながれてないだろう。あれだけの短時間だ。そこまでの余裕も、丸ごとにも、なかったはず。

みろ、あわててつけたもんだから、LとRをまちがえてつけてるぞ。

ないしん、ひやひやしながら、そのきこえないイヤホンのむこうで、聞く耳をたててるんだろう?

丸ごと、額に、汗がでてるぞ。そのあせは、さっき、わたしのお茶をがぶ飲みしてたからじゃないのか?
せっかく飲んだのに、もう出てきちゃったのか?

丸ごとくんは、寝ているはずなのに、ずいぶんと、顔色悪いようだ。

それを、うしろから、確認できない、きたろうは、美しい笑顔で、問いかけ続けていた。