一通り、風呂をまわり、ガス抜きできた。
このあとは、まちにまった牛乳を飲むと思うと、おのずと、テンションがあがる。

牛乳自動販売機は1台しかないため、だいたいの、入浴グループが、ここにくるだろう。
先客がやはりいる。よくみる光景だ。

そんななかに、明らかに、ほかの入浴者とちがう人間がいる。

かたわらには、飲んだであろう、牛乳瓶が転がっている。

『きたろう。。。』

あいつまだいたのか。てっきり、入場禁止をくらって、そのまま、帰ってしまったと思っていたが、実際にかえらずに、いつでてくるか、わからない私たちを、帰りに寄るであろう牛乳自販機でまちぶせしていたのだろう。
なにやら、不機嫌そうにこちらをみている。風呂に入れなかったのは、私たちのせいではないし、あきらかに背中に、自ら入れた『鬼』であるのは、まちがいない。
いま、わたしたちに、怒りをぶつけるのは、間違いだろう。

(おそいよ。。。)

きたろうは、ぶっきらぼうに言ってきた。
まあ、たしかに、あせだらだらのまま、さっぱりとなった人たちが、うまそうに、牛乳のんでいたら、きもちも、すさむかもしれない。
ただ、あきらかに、きょうのきたろうは、だめなきたろうだった。
良い状態のきたろうを知らないため、想像でしか、わからないが、身なりのきれいになった私たちが、勝者、きたないきたろうが、敗者だろう。

もう、風呂も入ったし、私たちは帰路につくことにした。
帰り際、フロントに、おれは、風呂に入りたくても入れなかったと、金返せと泣きついていたのが、印象的だった。
実際、入館して、二時間近くたったいま、風呂に入ってないからとアピールされても、映画館にきて、二時間たったあとに、おれは、映画見たくても見てないといっているような、ものだ。

無理がある。
きたろうは、それから、いつものだんまりの気配を消す日常にもどった。