あーあ、濡れちゃった。

その言葉に、われにかえる丸ごと。

いま、こんなどさくさにまぎれて、スタートしても、だれもみてないじゃないか。
それに、じぶんのために、コーラをもってきて、蓋までぬいてくれた女子が、あわてふためいてるときに、勝手に飲みはじめても、それは、ただの逃げにしかならないではないのか?
さっきまで、じぶんの芸に、声援をおくってくれた、ギャラリーには、精一杯、たのしんでもらわないとと思い、コーラを飲み始めるのをやめた。

とりあえず、じぶんのつかってないおしぼりをわたす。
どうやら、コーラを拭き取れたようだ。

よし、これで、あと、2.5本飲んでおわりにしよう。

よし!いこうと、コーラに手をかけたとき。

《はい、これ!》
《だいぶ、こぼれちゃったし、ぬるくもなっちゃったから、新しいの!》
《今度は、乱暴にもたないで、ゆっくりもってきたよ。》

瓶の蓋も、おちついて、丁寧にあける。

ぽんっ!

中身は、一滴もこぼれないで、なみなみ、入ったまま、テーブルに鎮座している。

丸ごとは、半分に減った、あのコーラは、カウントするのかそうではないのかと、不安におもいつつ、ただ、一点をながめたのだった。