伊藤さんは、しつこいときはとことんしつこい。悪い人ではなく、むしろ、人当たりはいいのだが、能率、効率に非常にうるさく、仕事を楽にすることを、目標としている。
店のなかでは、基本に忠実が望ましいが、仕事をはやく、こなすためには、やはり、効率をよくすることは大事だと思う。
だいたいは、自分でみつけたやり方を、さりげなくつかい、人に気づかれたときに、説明するのだが、伊藤さんは、わざと気づいてもらえるように、アピールする。

(あー、なるほど!)
(そっかそっかー!)
(これ絶対にいいよ~!)

バリエーションは、ほかにも、多数あるが、まずは、近くにいる人に、わたしは、こんなのみつけたんだよ~って、いうことを、気づいてもらえるように独り言を始める。
最初は、なにごとか?と振り向いてみてきた人たちに、満面の笑みをうかべる。
たくさんのギャラリーが、あつまっていることに、満足感をおぼえると、伊藤さんは饒舌な口調で、ほら、みてごらんと、裏技をみせる。
もちろん、純粋にすごい技には、称賛の声があがる。
それを覚えてしまったのだろうか?伊藤さんは、群衆からの、歓喜の声の虜になってしまったようだ。
最初のころは、ネタもたくさんあるため、みせる技も、すごいものが、おおかったが、量の増加は質の低下に繋がることをしらない伊藤さんは、クオリティーの低い技を、淡々とくりかえす、しつこいパートさんになってしまった。
徐々に離れていった群衆を引き留めるには、もはや、質の低い裏技では、無理と言うことがわからなくなっていた。
わたしは、裏技はしらないが、これは悪い例だと認識できるようになった。