アネモネ

アネモネはキンポウゲ科アネモネ属(イチリンソウ属)の多年草(球根植物)である。
イスラエルなど地中海沿岸地方に自生する野生種をヨーロッパで園芸用に改良した。
自生地の一つであるパレスチナから十字軍の土産としてヨーロッパに導入され、15~18世紀にかけてイギリスとオランダで盛んに育種が行われたのだという。
日本には明治5年(1872年)に渡来している。
日本で一般にアネモネとよばれるものは球根性の種類をさし、花壇や鉢植えにして観賞する。
牡丹一華(ぼたんいちげ)、花一華(はないちげ)、紅花翁草(べにばなおきなぐさ)などの別名がある。
雛罌粟(ヒナゲシ)に似た花は色鮮やかで、赤、桃、紫、青、藤、白など数多くの色があり、一重咲き、半八重咲き、八重先など品種も多い。
なお、鮮やかにいろづく花びらに見える部分は実はがくが大きくなって変化したものである。
茎の高さ約20センチで、葉は羽状に分裂する。植付け時期は9月~11月で、花期は2月~5月である。
アネモネの名は、ギリシャ語で風を意味するanemos(アネモス)から来ている。英語名もwind flowerという。
ギリシャ神話では女神アフロディーテの涙から生まれた花だといわれ、ローマ神話では風の神ユピテルに愛された少女の生まれ変わりだとされている。
なお、アネモネの仲間には、福寿草、クレマチス、翁草、金鳳花、秋明菊、一輪草、二輪草などがある。
俳句の季語は春である。
写真は5月に赤塚植物園で撮った。
学名:Anemone coronaria


★華やかに春の歓び歌い上げ
 咲くアネモネの花びら揺れて
☆アネモネの花びら揺らす春風は
 空をも染める色鮮やかに

カランコエ

カランコエはベンケイソウ科リュウキュウベンケイ属の多年草である。
原産地はマダガスカル島である。
葉は多肉質で、花の赤も鮮やかである。
カランコエ属は種類が多いが、普通カランコエといえば、紅弁慶(ベニベンケイ)の改良種をさす。
小さな美しい花を茎頂にたくさん咲かせ、花の色も紅色、ピンク、黄色、オレンジなど多彩である。
本来の開花時期は3~5月だが、今では一年中見られる。
写真は2月に大船植物園で撮った。
学名:Kalanchoe blossfeldiana cv.


★賑やかな色に溢れてカランコエ
 下に隠れる葉は分厚くて

アイスランドポピー

アイスランドポピーはケシ科ケシ属の多年草である。
園芸上では一年草として扱われている。
別名をシベリア雛芥子(シベリアヒナゲシ)と呼ぶように、原産地は北半球の極寒地である。
ポピー(Poppy)やコクリコ(フランス語)の名前でも流通している。
雛芥子(ヒナゲシ)や鬼芥子(オニゲシ)と同じ仲間である。
花期は2月かに5月にかけてで、パステルカラーの薄い四弁花を風に揺らせる。
写真に収めるのがとてもむずかしい花である。
花の色は、だいだい、黄、桃、赤、白など様々である。
写真は2月に新宿御苑で撮った。
学名:Papaver nudicaule


★春風に我が身委ねてゆらゆらと
 コクリコの花調べ奏でて
☆かさこそと蕾の袋打ち破り
 大きく開くコクリコの花

赤花三椏(アカバナミツマタ)

三椏(ミツマタ)はジンチョウゲ科ミツマタ属の落葉低木である。
原産地は中国の南部で、日本には室町時代に渡ってきた。
虫の害を受けにくいことから主に紙幣や証券用紙の原料として利用されている。
沈丁花(ジンチョウゲ)と同じように花には花弁がなく、花弁のように見えるのはがく片である。
花には芳香があり、黄色い色をしている。中国名は黄瑞香という。
写真のように赤い花のものもあり、赤花三椏(紅花三椏)と呼ばれている。
花はボンボンのように密集しているが、よく見ると4枚の花びらを持つ花の集まりである。
三椏(ミツマタ)という和名の由来は、枝が三つに分かれるところからきている。沈丁花(ジンチョウゲ)の仲間とは思いにくいが、沈丁花(ジンチョウゲ)も枝が三つに分かれるし、花の形もよく似ている。
なお、俳句では「三椏の花」が春の季語である。
写真は3月に鎌倉の長谷寺で撮った。
学名:Edgeworthia chrysantha cv. Rubra


★俯けど頬は血潮のたぎりたる
 三椏の花隠せぬ思い
☆手の中に朱色に染まるぼんぼりは
 君を思わん三椏の花

立犬の陰嚢(タチイヌノフグリ)

立犬の陰嚢(タチイヌノフグリ)はゴマノハグサ科クワガタソウ属の越年草である。
ヨーロッパ、アフリカ、アジアなどに分布している。
日本へは明治時代の初期に渡来した。
各地に分布し、道端や畑、荒地などに生える。
同じころに渡来した大犬の陰嚢(オオイヌノフグリ)よりも花は小さく、立ち上がる茎先の葉の脇に花を一つつける。
草丈は10~20センチくらいである。
開花時期は4~6月である。
花の色は瑠璃色で、葉の陰に隠れるように咲く。
なお、陰嚢(フグリ)というのは睾丸のことである。
花の後につく実が二つ並んでいる様を犬の陰嚢(フグリ)に見立てたという。
日本在来種に犬の陰嚢(イヌノフグリ)がある。
俳句では「犬ふぐり」が春の季語である。
写真は5月に伊豆高原で撮った。
学名:Veronica arvensis


★葉の陰に瑠璃の花びらそっと見せ
 緑の風に身をゆすりつつ

シラーベルビアナ2

シラーベルビアナはユリ科ツルボ属の宿根草である。
大蔓穂 (オオツルボ)という和名がある。
原産地は地中海沿岸である。
開花時期は4~5月で、青い花を八方に広げる。
乾燥した地面に適しているが、地下茎部分が有毒である。
ツルボ属は温帯地域などに80~90種ほど分布しているという。
写真は4月に伊豆海洋公園で撮った。
学名:Scilla peruviana


★紫の花はいかがと手を広げ
 君を手招くシラーの花は


シラーベルビアナ

大犬の陰嚢(オオイヌノフグリ)

大犬の陰嚢(オオイヌノフグリ)はゴマノハグサ科クワガタソウ属の越年草である。
原産地はヨーロッパで、日本へは明治時代の初期に渡来した。
道端や畑の畦道などによく見られ、早春から瑠璃色の花を咲かせる。
雑草だが、固まって咲いているととてもきれいだ。
日本在来種の犬の陰嚢(イヌノフグリ)より花も草丈も大き目なのでこの名がつけられた。
とは言え花径は5ミリ程度のかわいい小花である。
草丈は10~40センチくらいである。
根元近くで枝分かれして横に広がる。
葉は円形で、縁に浅い鋸歯がある。
短い葉柄がある。
開花時期は2~4月である。
花の色は瑠璃色で、紫色の筋が入っている。
正面から見ると花びらが4弁に分かれているように見えるが、後ろから見ると1つにつながっている。
花の中央には雄しべが2つと雌しべが1つある。
なお、陰嚢(フグリ)というのは睾丸のことである。
花の後につく実が二つ並んでいる様を犬の陰嚢(フグリ)に見立てたというのだが、奇妙な名前の一つである。
俳句では「犬ふぐり」が春の季語である。
写真は3月に大船植物園で撮った。
学名:Veronica persica


★瑠璃色の花びらそっと首を出し
 春の訪れ確かめながら

バンダ

バンダはラン科ヒスイラン属の常緑多年草である。
東南アジアを中心に、インド、中国南部、オーストラリアなどの熱帯・亜熱帯地域に分布する。
着生ランで、編み目模様の入った美しいブルーの花を咲かせる。
自然開花期は5~6月のようだ。
写真は1月に大船フラワーセンターで撮った。
学名:Vanda sp.(属の総称)


★珍しい青紫の蘭の花
 木に宿り咲くバンダを愛でて

深山苧環(ミヤマオダマキ)

深山苧環(ミヤマオダマキ)はキンポウゲ科オダマキ属の多年草である。
北海道と本州中部地方以北の山地帯の草地や礫地に生える野生種で、栽培もされる。
苧環(おだまき)というのは麻糸を巻いた管のことで、距を立てた花の形が似ていることからこの名がつけられた。
草丈は20センチくらいである。
根から出る葉は長さが5~15センチくらいである。
手のひらのような形をした小葉3枚1組で一つの葉になっている。
開花時期は6~8月である。
下向きないし横向きに青紫色の花をつける。
花の直径は3~4センチほどである。
中央の白っぽい部分が花びらで5枚あり、後ろの距とつながっている。
青紫色をして外側から巻き込んでいるのは萼で、5枚ある。
花の中央には雄しべと雌しべがたくさんある。
野生種としてはもう一つ山苧環(ヤマオダマキ)があるが、こちらは山地の草原や林縁に生え、色は赤紫色をしている。
俳句の季語は春である。
写真は5月に箱根湿性花園で撮った。
学名:Aquilegia flabellata var. pumila


★浮かれ咲く苧環の中浮き浮きと
 歩む背中にそよ風緑

鯛釣草(タイツリソウ)2

鯛釣草(タイツリソウ)はケシ科コマクサ属の多年草である。
コマクサ属ということでわかるように、高山植物のコマクサと同じ仲間の植物である。
原産地は中国、朝鮮である。
中国北部の河北省、四川省や朝鮮半島の山地で見られる。
寒さには強いが、夏の高温と乾燥を嫌う。
草丈は50~80センチくらいになる。
花期は4~6月である。
花の大きさは3センチくらいで、ハート形の白やピンクの花が花茎の先に垂れ下がってつく。
この垂れた花を鯛に見立てて名づけられたものである。
花には大小2枚ずつ4枚の花弁がある。
ほかにも華鬘草(ケマンソウ)の名前がある。
こちらのほうが花の名としては知られており、仏具の華鬘に見立ててつけられた名前だという。
華鬘は寺院のお堂の中にかける透かし彫りの飾りのことだそうで、金・銅・革などを材料に花鳥・天女などを透かし彫りにするものである。
藤牡丹(フジボタン)、華鬘牡丹(ケマンボタン)の別名もある。
俳句では春の季語である。
白花の写真は5月に箱根の強羅公園で撮った(植栽)。
ピンクの花は4月に小石川植物園で撮った。
学名:Dicentra spectabilis


★好きなのとハートピンクに染めながら
 鯛釣草はそっと告白
☆イヤリング耳を飾って鯛釣草
 ハートの花は恋のときめき

鯛釣草(タイツリソウ)