ここ数日、夏目漱石のいう自己本位について、さらに他人の個性、自由、生き方を尊重する意味を考えながら過ごしています。
今まで、人の個性や自由を尊重していただろうか、とても尊重とはいえず、許容に過ぎず、時には自由を制限したくもなったのではないかと思います。
人を尊重することと自己本位には深い関わりがあるのかもしれません。
『私の個人主義』をよく読んでみると、自己本位をしっかりとしたものにするには、これを支えるものがあるほうがよいことに気がつきました。
それは、心から自分のやりたいこと、ライフワーク、漱石の言葉を借りれば、「私の生涯の事業」です。
漱石の生涯の事業とは
-抜粋- p.115
「・・そう西洋人ぶらないでも好いという動かすべからざる理由を立派に彼らの前に投げ出して見たら、自分もさぞ愉快だろう、人もさぞ喜ぶだろうと思って、著書その他の手段によって、それを成就するのを私の生涯の事業としようと考えたのです。」
翻って、私自身を考えた時に「これかもしれない」と、最近気づいたものがあります。
今、“生涯の事業”を公言するほど、まだ自信はないのですが、これならどのような状況になっても実践することができて、厳しい時ほど必要なことだと思えるものです。
そして、私と同じような立場におられる方にも、いくらかは参考になって、お役に立たないまでも、せめて自暴自棄を免れればと思っています。
少しずつ、私なりの“生涯の事業”が明確になりつつあって、状況が悪くても、その悪い状況が踏み台になるような気がしてきました。
そうして、“生涯の事業”について考えているとき、私の不安はなくなっているのです。
ただ、まだ信念が足りないからでしょうか、しばしば今の状況に押し潰されそうになることがあります。
-抜粋- p.118
「・・ああ此処におれの進むべき道があった! 漸(ようや)く掘り当てた! こういう感投詞を心の底から叫び出される時、あなたがたは始めて心を安んずることが出来るのでしょう。・・」
◇抜粋=漱石文明論集 三好行雄編 岩波文庫