そら


          あさの空を
          見上げる。
          約束はひとつ、
          背筋をぴんと
          伸ばすこと。


朝の空は、まっさら、という感じがして好きです。


それはまひるの空でもなく、ゆうがたの空でもなく、
色にも匂いにも、何かとくべつな透明感があるよう
な気がします。


末っ子が通う保育園は、駐車場から園の門まで、

ゆるやかなのぼり坂になっています。坂をあがると

き、毎朝、視界に空が広がります。
のぼり坂は決してラクではないけれど。意識しても
しなくても、いつもちゃんと空が見える。
これは私にとって、ちょっとした嬉しい発見でした。


もしかすると、人生もおなじかもしれません。
坂道の途中で、息がきれてしまいそうなときほど、

本当は、空を近くに感じる場所に立っていて。

のぼりきった先には、きっときれいな空が広がって

いる。そんなふうに思えたなら、どんなことも楽しん

で進んでゆけるように思えるのです。


朝、息子とふたりで、手をつないで空を見上げます。
「今日も、空が青いねー」
「ほんとだねー」


おかしいくらい、いつも同じセリフを繰り返している
のですが、おなじ風景をみて"きれい"と感じる時間

を共有できるのは、実はとても幸せなこと。


ありふれた暮らしの中には、とてもささいな、だけど、
幸福と呼べる瞬間がいくつもあるのだと思います。

空の写真:Nature から