はじめに、世の中には様々なキャスティングスタイルがあるし、これから私が紹介するキャスティングも、その中の一つに過ぎない。優劣ではないし、しいて言えば好みの問題だと思う。環境や使っている道具によっても左右されるし、そう言う意味では、これまでやってきた釣りが集約されると言えるかもしれない。私の場合は、なんとなく興味半分で手に入れた「パラコナ」から辿り着いた縁だった。まだ二十代の頃、それまではオービスなどを使って釣りをしていたのだが、雑誌で紹介されていた英国の老舗メーカーであるHARDYのロッドを使ってみたいと思い、色々と調べていて、HARDYのバンブーロッド「パラコナ」を知った。それまで竹竿への憧れはあったが、どれも高価で、自分には縁がないと思っていた。しかし、今となってはどうやって探したのか思い出せないが、割と安価に手に入れることができた。私の最初の1本は、パラコナトラウトストリーム8f#6。通販ではなく、直接会って売り主から受け取った記憶がある。当時は「パラコナ」がハーディーのバンブーロッドの総称だと知らなくて、パラコナが欲しいと口走ったら笑、その通りパラコナトラウトストリームが来たわけだが、パラコナに様々な機種があると知っていたなら、最初の1本はまた違ったものになっていたかもしれない。さて、キャスティングの話に戻すが、早速パラコナを使おうと思ってキャスティングをしてみたが、どうもグラファイトのようには行かない。何だか宝の持ち腐れのような気がして、これではいけない、と感じ、急にキャスティングに興味を持ち始めた。それと同時に、ハーディーについて調べていく中で、当時はまだ大したネット検索もできなかった時代だが、それでも「クラブ・オブ・ハーディー・ジャパン」というクラブがあることを知り、恐る恐る連絡を取ったのである。そのやり取りを通じて、クラブの人たちと知り合い、その中でハーディー公認のキャスティングインストラクターから、キャスティングを習う機会を得たのである。幸運というか、縁というか、それは導かれるようだった。師匠とは偶然、同郷でもあったので、芝生でのキャスティング練習の他、様々な釣り場をご一緒させていただいた。当時のフライロッダーズに師匠の特集記事が掲載されていたので、記憶にある方もいらっしゃるかもしれない。
当時、師匠からいただいた教本。師匠の師匠の著作。私などがキャスティングについて語れるわけもないのだが、世間に知られないのは勿体ないと思うので、著作権を侵害しない程度に、少しキャスティングの話をさせていただこうかと思う。ほんの数ページではあるが、私の記事に紹介させていただくことをお許しいただきたい。初めにキャスティングの全体像をイメージする。
言葉にするには難しいが、イメージとしては、今主流の左手でラインをホールして前後にロッドを振るキャスティングではなく、極端に言うと上下。脇は閉じるのではなく、むしろ開けて、ロッドを持つ腕、肩、手頸をバックキャストと同時に、思いっきりブロックするイメージ。すると、ループが真上にできる。それを後方にドリフトするイメージ。
たぶん、今主流のキャスティングとは全く異なると思う。でも、私はこのキャストで困ったことはないし、低番手ではなく、#6以上の番手、さらには竹竿、パラコナを使うには必要不可欠なキャスティングだと思っている。私の仙台の友人たちも皆、同じ原理のキャスティングをしている。フライを単にキャストするだけなら、様々なキャスティングが可能だろうし、それらを否定するつもりは一切ないが、私は縁があって、このキャスティングを基礎にして本当に幸運だった。ちなみに、スペイキャスティングも、結局は同じ原理なんだなと痛感している。最後に、一点だけ、私の忘備録として記しておきたいが、スタートポジションがとても大事で、スペイで言えばファーストアンカーとでも言おうか、シングルハンドでは、下流に流れるラインであっても、ロッドティップを少しだけ動かして、最初からラインをロッドに乗せること。左手で持ったラインとバットのガイドを起点に三角形を形成すること。そこからキャスティングをスタートさせること。
その意識の差が、恐らくバックキャストの高さを数十センチ変化させる。振り過ぎるのは、最初が悪いのだ。悪いスタートは最後まで影響し、低いバックキャストはいづれ地面を拾うだろう。
偉そうなことを色々と書いてしまったが、今の私は実釣から離れてしまって、頭の中のイメージでしかない。他の人に教える実力もないし、そんな気もない。ただ、フライキャスティングの理論が好きなので、まあ、話半分で読んでいただければ幸いです。この話をするのは、関係者の方々にも気を遣います汗。今は連絡を取っていないのですが、皆さまが健在であることを切に願います。良い思い出と共に。それでは、また。
