巷では、冬のアウターとしてBarbourを着ている方がいる。私もその中の一人である。私の場合は、HARDYのオイルドコートがメインで、ファッションというより、他に気の利いたアウターがなくて、着始めたのだが、これが案外街に似合う。一見、オイル臭いし、オイルが他の人の衣類を汚すのでは?と思うが、長年着たオイルドコートは良い感じにオイル抜けしていて、匂わないし、乾いて、良い経年を経て味がある。決してBarbourだけがオイルドコートではない、そんな風に思っていたのだが、ある時「Houghton 」という名のオイルドコートがBabourにあることを知り、思わず買ってしまった。
Houghton と聞いて、ハッとなる人は、英国の釣りに興味がある方かもしれない。公式な文言ではないが、どう考えても、英国の名門フィッシングクラブ「Houghton club 」から名前をいただいているとしか思えない。英国では、年中霧雨が降るせいか、ビジネススーツのアウターとしてオイルドコートを着ることに、何の違和感もないそうだ。ただし、スーツのジャケットの丈に合わせて、少し長めのものが良いだろう。日本で販売されているモデルで言えば、「ビューフォート」がちょうど良いかもしれない。Barbour に詳しい方なら知っているかもしれないが、Houghton は英国内でのみ販売され、日本では正規には入っていないようで、輸入業者が向こうで仕入れて日本で販売されたもののようである。これは一般的なビューフォートとは違って、ビューフォートの特徴であるゲームポケットが無い。サイズも他と異なり「L」「M」という表記で、身長175㎝の私はLサイズでちょうど良かった。
裏地がとにかくカッコいい。ちなみに隣に写っているのはHARDYのスペイジャケット。これもジーンズによく合うし、軽く羽織れて、春先でも街に来て行けそう。Houghton の色は黒のみ。襟がレザー仕上げで高級感がある。私のお気に入りの一着だ。
実は今日はBarbour の話をしたかったんじゃなくて、私の所有する「The Houghton Dry 」について紹介したかったのだ。
私のHoughton Dry はA41682の1909年製。9f6inで#5がちょうど良い感じ。スピアなどもオリジナルで欠損はないが、多少レストアされていて、バットのガイドと1トップのガイドが交換されている。しかしながら、100年以上前のPalakonaで、無事にトップが2本とも残っているのも奇跡だし、実釣には全く問題なく、むしろこの年代のしなやかさときたら、その繰り出されるライン軌道にうっとりしてしまう。そして、この継ぎ目無しのコルクグリップは、まさに歴史を感じさせる個体の象徴ではなかろうか。
ジョイントはスパイラルロックファストだが、通常は時計と反対周りで閉じると思うのだが、これは時計回りで噛み合う。時代なのか、オーダーなのか不明だが、使用時、万が一ロールキャストでスペイ回転する際は、私は右利きなので気をつけねば。
実はバットガイドが、白メノウ入りのガイドに交換されているのだが、最初はオリジナルが脱落して、紛失したんだろうとしか思っていなかった。しかし、私が購入して15年は経つと思うが、先日竿袋の底に何か固い物があることに初めて気がついた。それが何と、オリジナルのバットガイドであった。前の持ち主が恐らく釣り場で無くしたと思ってレストアしたが、実は竿袋の中にあったことに気付かなかったのだ。不思議というか、面白いというか、無くしたと思っていた物が、忘れた頃に見つかるアレである。ちなみにガイドの数も他のより一箇所多い。勿論、段巻きの数は言わずもがな。