「奴隷海岸」と言えばアフリカ中西部(トーゴ・ベナン・ナイジェリアあたり)のギニア湾に面した「黄金海岸」「象牙海岸」「胡椒海岸」と共に「貿易商品名」を冠した地域名で有名ですが、日本にも一時期「奴隷海岸」がありました。
日本の「奴隷海岸」は、九州をアフリカ大陸に見立てた場合の「奴隷海岸(現ベニン湾付近)」の位置と近似しています。なんでも、日本列島を世界地図に見立てる事が出来るという人の話では「九州はアフリカに相当する」そうです。
世界を疑似的に縮刷した「日本地図」では、北国の北海道は北アメリカ大陸で、南国の沖縄は「南極」かも知れません。
それはさておき、ビジネスジャーナルの「外国人実習生に月給1万円→解雇、代金不払い」の記事によると、
<1994年創業のホーユーは、北は北海道から南は沖縄まで、保育園や学校、寮、官公庁、病院、さらには自衛隊の駐屯地など幅広い種類の施設で給食・食堂事業を運営していたが、債務超過に陥り、すでに自己破産申請の準備を進めており、全国各地の施設で給食提供の停止や食堂の閉鎖が相次いでいる。>
だそうです。
「奴隷」は所有者の資産なので転売は自由ですが、解雇が「奴隷解放」に相当するとしたら、寧ろ「人道的」かも知れません。「外国人技能実習生」は、「派遣労働者」と同様に雇用主の資産では無く、「管理団体の管理下にある人材(実質的には、派遣業者の商品に相当)」です。
つまり、企業は不要になった「技能実習生」を直接解雇する事は出来ず、管理団体との契約を解除する事で、「レンタル労働力」を返品する事になります。「管理団体」と「技能実習生」にも雇用関係はないので、「実習生(商品)」は自由になるのですが、本則では本国に「返品」される運命にあります。
外国人不法滞在者は「強制送還」を逃れる為に「難民申請」をすれば、今のところ3年間は生活費を支給(表向きには、賃労働は禁止なので)され日本に居残る事は可能なようです。これを現行法で限度の2回繰り返せば、6年間は順法的な不法滞在」が出来るそうです。
3回目以降の「難民申請」は、強制送還の対象だそうです。さらに、送還を妨害する行為を取り締まる為に、罰則付きの退去命令制度が有るようです。
昔の「奴隷」は、地域紛争の「敗者」が勝者(多くは敗者と同一民族)によって「商品」として売られ、白人の「資産」になりましたが、「奴隷解放」後には、その地に居残る事は違法ではありませんでした。人を取り締まる法律では「モノ」は取り締まれないので、当然と言えばそれ迄ですが。
今の「技能実習生」は、経済戦争の「敗者」が勝者(多くは公務員や手配業者)の甘言によって手配されます。その後、受け入れた企業が「不用品」として解放した「実習生」は、居残ると「不法滞在」になります。企業にモノ扱いされた「技能実習生」でも、法的には人なので、当然と言えばそれ迄ですが。
「奴隷の解放」と「実習生の解雇」のどちらが人道的なのかは分からないのですが、全ては「カネ目」のようです。