Foundations

Jodi Proznick

 

Cellarlive

CL 070406

 

評価

★★★★ 1/4

 

ハードバップ・ファン、マスト・バイの一枚

 

 

しばらく本業に付随する雑用や家族のことなどで忙しく、ゆったりと音楽について綴る…なんていう余裕が全くありませんでした。

もっとも、合間にマラソン大会出たりして遊んでもいましたが。

 

これからは畑や庭、夏山登山が忙しくなりますが、仕事が一段落した今だけは、ちょっと一息入れて音楽に耳を傾けたいと思います。

 

CDを探す際に、昨今は自分の「嗅覚」だけが頼りです。

好きなアーティストを追っていくにもリリースされている枚数に限りがありますし、同じミュージシャンだけを聴くのも飽きるし、つまらない。

 

はて?

 

どうすればハズレを少なく済ませ、ヒット作を効率よく入手できるのか?

そこで最近用いている手法が「レーベルを攻略しよう!」というもので、昔クリスクロス・レーベルをたくさん買っていた頃に用いていた手法。レーベルの持っている「カラー」とメンバーや収録曲から内容を類推し、購入するというもの。

 

クリスクロス・レーベルは僕にはちょっと高尚になってしまった感があるので、近頃注視しているのがセラーライブ・レーベルです。忙しくてコメントはしていませんでしたが、これが嬉しい悲鳴。ザクザクと至宝を掘り当てています。

 

本作品のリーダーは女性ベーシストのジョディ・プロズニックさん。因みに共演しているチルデン・ウェッブ氏と婚姻関係にあります。

 

Tilden Webb は何枚か聴いたことがありますし、例えばピーター・バーンスタインとの共演では素晴らしい伴奏を務めています。ドラマーも繊細さと押しの強さを併せ持った腕達者で、S.カルデスタッドは最近僕がハマっているサックス奏者。買ったどのアルバムも外していません。

 

セラーライブ・レーベル。

メンバーも、まずまず。

曲は知らないけど、きっと外さないだろう。

よし、買って聴いてみよう、外さないハズ…

 

 

ジャケ良し、中身も良し(裏ジャケも良し)

 

♪ 収録曲

① Help Me

② Duke of York (Proznick)

③ Acquiescence (Proznick)

④ Reaction

⑤ Washing of the Water

⑥ RB's Line

⑦ Must Be Rain (Proznick)

⑧ All to Soon

⑨ Tell Me Why (Proznick)

⑩ Dancing Sunbeam

 

きっと洋楽に詳しい方ならすぐにピンと来たと思うのですが、僕はそれほど明るくないのでわからなかった…

 

①を聴いたときに、「ん?何だかミステリアスな雰囲気の曲だけど、これはショーターの曲か?」と思ったのです。実はコレ、ジョニ・ミッチェルの曲でした。「どうして私ったら、ダメ男に惚れこんでしまうのかしら…」という微妙な女心を赤裸々に吐露した曲。

ロック・カヴァーをジャズで演るとどうしても「無理」が出てしまうケースが多いのですが、これは元曲を凌駕しそうな素晴らしいデキ。

 

女性ならではの選曲だったのでしょうか(最近はそういう書き方をすると叩かれることも多いですが、別に、僕に差別的な意図はありません)。素晴らしい選曲に、素晴らしい演奏。

 

アルバムの冒頭にこのような静かで深みのある曲を持ってくることは珍しいですが、これで見事にアルバム世界に惹き込まれます。

その他の曲もアグレッシブで好戦的な曲、美しいバラード、ノリのよい曲などバラエティーに富んでいて、1時間程のアルバムを全く飽くことなく聴き通すことができます。これって、当たり前のようですが、実は凄いことです。

 

 

♪ メンバー

Jodi Proznick (ベース)

Tiden Webb (ピアノ)

Jesse Cahill (ドラムス)

Steve Kaldestad (テナー・サックス)

 

 

録音も、とても良い。

ピアノの粒立ち、ベースのどっしりとした迫力、繊細なシンバル・ワーク、艶と張りのあるサックス。聴いていて気持ちの良い録音です。

 

Proznick 氏のオリジナルがまた素晴らしい!

レイ・ブラウンみたいに、グイグイとグループを引っ張る力強いベースには脱帽です。

 

 

もっと沢山のジャズ・ファンに聴かれるべき、秀作です。

ハードバップ・ファン宅には、一家に一枚的アルバム。

 

貴方のお宅にも、是非!