Commencement
Akiko Tsuruga
Somethin Cool
SCOL-1004
ロシアとウクライナ、イスラエルとパレスチナ…世界中の様々な場所で国や民族の対立や軋轢が止みません。
しかし、芸術や音楽といったものは容易に国境や人種や民族を超えるものだと、つくづく感心します。
もし、このCDをブラインドで初めて聴き
「これ、絶対に日本人の女性でしょ!」
なんて答える方はほぼ皆無と思われます。
ジャケはもう一工夫欲しかった。この表情通りの清々しい快演ではあるけれども…
「3歳でオルガンを始め、クリスチャンの母親の影響で教会音楽に親しむ・・・」とライナーには書いてあります。
幼少期から音楽に巡り会う良い環境にあったとしても、才能を伸ばす努力が無ければ能力も磨き上げられず、宝の持ち腐れとなってしまう。
この作品は、類い稀な才能と努力の結果が生み出した賜なのでしょう。
ジェフ・ハミルトンのドラムスとジョン・ハートのギターを従える、シンプルなオルガン・トリオ構成。実に快活に、ブルージーに、ファンキーに、グルーヴィーに・・・
と、ご機嫌なアルバムなのです。
時にはシャーリー・スコットのように優しく、時にはジミー・スミスのように豪快に猛々しく。
楽曲もジャズにこだわらず、自分の好きな、自分が演りたい曲を取り上げているように思われる選曲が功を奏しています。
commencement という単語は知らなかったのですが、「始まり」という意味だそうです。
では、ファースト・アルバムなのか?と思いきや、これは第7作目とのこと。しかも、今までに錚々たるジャズ・ジャイアントとの共演を経験しています。道理で、落ち着いて余裕たっぷりの演奏をしている訳だ。
この作品が「始まり」となり、今後どのように発展していくのか。
また一人、気になるミュージシャンが増えてしまった…
(軍資金はどうなる?)