ゾンビ小説とか映画って頭打ちかと思ったけど
まだまだ新しいパターンがあるね
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本「コンテクスト・オブ・ザ・デッド」 著者 羽田圭介

 

★★☆☆☆ (個人評価 ★多めならおすすめ)

 

ゾンビ=変質暴動者が出現し始める。
彼らに噛まれると同じくゾンビ化してしまう。
しかし噛まれてもしばらくは通常の生活が送れる人もいて、社会は混乱する。
区の福祉事務所でゾンビ対策に携わる新垣、小説家志望の晶、美人作家のカヲル、女子高生の希、それぞれの運命は…。

 

 

この作家さんは初見でした。

まず普通のゾンビ小説ではなかった。
普通ってなんやねん、て話になるけど、ゾンビに襲われて逃げる…みたいなパニック小説ではないってこと。
もちろん、ゾンビに襲われて大変!人のいない街を逃げる!みたいなのはある。
けれど、ゾンビが発生しても日常は続いている…という、ある意味リアルなお話になってる。

日常に、時折ゾンビ化した人が現れ、区役所や警察に通報。
するとゾンビを確保してくれる…みたいな。
リアルにゾンビが発生したらこんな感じになるんじゃないかと思ったわ。

 

やたら、最初から編集者や、作家や、作家志望の人が出てくるな~と思ってたら、それ系のお話でした。
それ系ってなんやねん、て話になるけど、要はゾンビ化するのもすべてコンテクスト=文脈が関係してくる、という。
文脈と訳してしまうとわかりにくいんだけど、文化の共有度というか、日本人にはなじみが深い他人との共感を大事にする感じ?
人と違ったことをすると、人の輪から浮いてしまう。
空気の読めない人と思われて相手にされなくなってしまう。
孤独を恐れ、常に他人との共感の中で生きていく…日本人らしい感覚ね。

本当の気持ちはどうであれ、他人に合わせて生きていく、これは大多数の人が無意識、あるいは意識的にやってることだと思う。
特に日本人って、相手の顔色を窺い、曖昧にうなずき曖昧に笑い曖昧に返事することが多いんちゃうかな。

「行けたら行く」「どうも」なんかは典型的な曖昧さ。
作中でも「どうも」というのは説明されてたけど、確かに、謝るのにも挨拶にも使用される。
ただし、ゾンビ化は全世界で起こっている。
てことは、外国でも他人との共有化は進んでるってことなんかな。

ゾンビが日常に溶け込む、噛まれてもまだ完全なゾンビ化はしておらず普通に仕事にやってくる、という場面が描かれる。
周囲の人は、こいついつ凶暴化するんだろうと怯えながらも共存する。
あくまでまだ人間であるから手出しすることはできない。
人を襲いだしたら殺してしまっても仕方ないけど、まだ今は…という感覚。

ただここら辺は曖昧で、誰が殺す許可を出してるのか、どうなったら殺しても大丈夫でどこまでが許されるのか…がわからない。
そこらへん書いてたのかな…。よくわからんかった。

きちんと法律化されないと、殺すに殺せないし被害者が増大していくよね。
政治的な面は全く描かれてなかったからよくわからんかったな。
書いてたらごめんなさい。

 

小説の主な登場人物は、編集者や、作家、作家志望、女子高校生となる。
それぞれがゾンビが増えていく世界で生きていく。
キーマンとなるのは女子高生だけど、ラストまでしっかり描かれているわけではない。
一応ゾンビ化する理由は判明するのだけど、ここがまた私には難しかった。
コンテクスト=文脈というのが頻繁に出てくるのだけど、はっきり理解できてない。

もし、日本人のように他人と合わせて生きていくこと=ゾンビ化する、であれば日本人ほぼゾンビになるやん。
ちなみに、ゾンビ化は噛まれなくてもなります、ある特定の条件があれば…なんだろうけど。

その辺がややこしいし、おまけに、過去死んでしまった文豪が蘇ります。
夏目漱石とか。
身体がすでになくなってるのになんで??
これはもう文脈では説明つかないのでは??

多々わけわからんかったけど、面白い展開だし飽きさせない。
きっと、作家志望の人とかが読んだらより面白いのではないかな。
現在の出版社、本、小説等の現況も書かれてるしそこらへんも面白い。
この作家さんが書きたかったのは、ゾンビものではなくて、現在の小説の立ち位置だったり作家の現況だったり、作家志望の人に対する思いだったり、編集者に対する不満だったりするんじゃなかろうか。
それをゾンビを出していっけん荒唐無稽に見えるけど、実際は作家生活における内情なんかを言いたかったのかもしれん。
知らんけど。
わからんけど。

 

ゾンビパニック小説と思って読んだら裏切られるけど、そういうシーンもちゃんと挿入されてるし、小説家のつらさみたいなのもわかるしそういうのに興味ある方はぜひどうぞ!

 

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