もし女性が国のトップだったら…。
戦争って起こらないのかな。
そんな気がするけどどうだろう。
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「父親たちの星条旗」 2006年アメリカ映画

 

★★★★☆(個人評価 ★多めならおすすめ)

 

監督 クリント・イーストウッド
出演者 ライアン・フィリップ  ジェシー・ブラッドフォード  アダム・ビーチ

 

世界第二次大戦中、最もすさまじかった戦いとして知られる硫黄島。
そこでの凄惨な戦いの最中、摺鉢山の頂上に星条旗を立てたアメリカ軍兵士たち。
その写真が有名になりアメリカ本土で兵士たちは英雄視される。
戦争の費用を集めるため、彼らは利用されることに。

 

 

クリント・イーストウッドが監督を務めた硫黄島二部作のアメリカ側の視点にたった映画。
「硫黄島からの手紙」が日本側視点の映画となる。

硫黄島からの手紙が、硫黄島での戦闘に終始していたのに比べて、「父親たちの星条旗」というのは、戦闘と、アメリカ本土での彼らの苦悩が描かれる。

 

AP通信のローゼンタールが撮った有名な写真を題材にしている。
兵士たちが星条旗を立てようとしている写真。

硫黄島での戦闘中、実はアメリカも戦争費用に苦慮していた。
全土にも暗い雰囲気が漂う中、あの写真はアメリカ中に勝機を感じさせるに十分だったと言える。

そこでその旗を立てた兵士たちを本土に呼び戻し、国債を売り戦争費用に充てようとする策略が行われる。

旗を立てた兵士たちはアメリカ中で英雄視されることになる。
しかし、実はあの写真は二度目の旗を立てる瞬間だったのだ。
一度目に旗を立てた兵士たちは顧みられることはなく、そのことは伏せられたまま、彼らは国内中を国債を売るための広告塔として連れまわされることになってしまう。
戦地で死んでいった仲間を思い、自分たちはヒーローなんかじゃないと悩む兵士たち。

 

父親たちの星条旗

 

けれど決してお涙頂戴の感情優先戦争映画ではないことに好感を持ったな。

この映画では硫黄島の戦いはCGも駆使しリアルに見せてくる。
手足がもげたり、首が飛んだり、そこらへんも曖昧にはしないでしっかり描写。
友達が目の前で撃たれ死んでいくさまも涙無しで淡々と描かれていく。
硫黄島での日本兵はほとんど顔を見せない。
姿なき、不気味な敵兵として描かれている。

実際にアメリカ兵たちから見たら、日本兵というのはこんな感じだったのではないかと思った。
近くで顔をじっくり見る機会はなく、ただただしつこくくらいついてくる、自らの命を「天皇」に捧げた得体のしれない相手。

 

あまり感情的にならずに戦争を描くことで、余計に戦争の理不尽さ、馬鹿馬鹿しさ、どちらもが国のためと言われ戦いの場に連れ出され、他人を殺させられ、撃たれて死んでいく…ということがより鮮明になっている気がした。

戦争というものはこんなにくだらなくて、虚しくて、どちらか一方が圧倒的に正しいということはないんだ、と主張したかったんじゃなかろうか。

だからこそ、同じ硫黄島での戦いをアメリカ側、日本側から平等にとらえた映画を作ろうと思ったんだろうな。
どっち側から見ても、虚しくただただ人命を無駄に消費するだけの戦争を描くことで、反戦を主張してる。

 

戦争してると、どちらも自国の主張が正しく間違っていないと言い、そのためにどれだけの人命が失われようとも正当性はこちらにあると主張し譲らない。
人を殺し合わなければ主張できない正当性などくそ喰らえだと思うのだけれど。

 

クリント・イーストウッド監督の戦争映画の良いところっていっぱいあるけど、クールに冷静に戦争の馬鹿馬鹿しさを描いているところが一番好き。
リアルな戦闘シーンも戦争の怖さと同時に人間が物のように扱われている様子を克明に見せてる。
こんなに人命が簡単に失われていく戦争…普段、人の命ほど尊いものはないんだよ、と子供たちに教えている立場の大人たちが人を殺しているんだからどうしようもない。

 

この映画の場合は戦争シーンだけじゃなくて、旗を立てた英雄とされた人たちのその後を描く。
結局、戦争が終わってしまえば彼らは決して英雄ではなく、ただの一般市民として生きていかねばならない。
最初から英雄じゃないと感じていた彼らからすれば、虚しいとしかいいようがないだろうな。

一応ノンフィクション作品を基に脚本化してるようだけど、どこからどこまでが実際にあったことなんだろう。
写真は実際にあるわけで、映っている兵士を英雄視したのも本当なのかもしれない。

 

戦争は見も知らぬ相手を殺すものだけれど、相手にもそれぞれ家族があり愛する人がいて幸せに暮らしていたのだと認識すれば戦争が減っていく…のだといいな…。
実際に認識するのは戦う兵士たちで、決して戦争を命令する偉い人たちではないからな…。

「硫黄島からの手紙」も「父親たちの星条旗」も戦争の悲惨さもわかるし、虚しさもわかるし、反戦映画として素直に受け入れられる映画でした。

 

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