★★★★★ (個人評価 ★多めならおすすめ)
ある日突然人々がゾンビ化。
しかし元人間であるがゆえに自衛隊も警察も後手後手に回るしかない。
新宿にある予防感染研究所にいた40人ほどの研究者たちは安全な所内でなんとかゾンビ化の理由を探ろうと奮闘するが。
ゾンビ小説も映画も胸やけするほど読んだり観たりしてきた(どや顔)。
けど、この小説には驚かされたわ。
ゾンビの正体についてここまで論理的にきっちり説明つけた小説は初めて。
しかも色々な謎についてもすべて説明されている。
あり得ないことかもしれんけど、でもあり得そうな。
パラサイト・イブを思い出したわ。
パラサイト・イブを読んで初めてDNAだのミトコンドリアだのを知ったもんなぁ。
予防感染研究所に勤める研究員の深雪。
たまたま日曜当番だったために休日に研究所に出勤する。
そこには40人程度の研究所員が出勤していた。
その時、テレビでニュースが流れる。
人が人を襲う…その様子を見て「ゾンビだな」と誰かがつぶやく。
またたくまにゾンビ化は広がり、研究所の外は阿鼻叫喚の世界へと変わる。
研究所内で原因究明しようにも検体がない。
そんな時、一人の刑事と大学生が研究所内に侵入。
彼らも仲間に加わることに。
しかし、刑事には何かほかに目的がありそう…。
今までゾンビのお約束つまり定番というのは大体決まっていた。
例えば、ゾンビ化すれば人を襲い、噛んだり喰ったりする。
走るゾンビもいればのろのろ歩くゾンビも。
噛まれるだけの人もいれば、内臓を貪り食われる人もいる。
これが一体なぜなのかどういう違いでそうなるのか…疑問には感じてもそういうもんだと思ってたからね。
ゾンビ化するのも、ゾンビに噛まれた場合、そして怪我をするといきなりゾンビ化する、二種類の状態が見受けられた。
世界各国で原因究明の努力がされるが、ウイルスも細菌も見つからない。
そもそも、噛まれると数分でゾンビになるような即効性のウイルスなどあるわけがなかった。
深雪たち研究員も所内でどうすることもできず手をこまねいていたその時。
新たなゾンビ化が始まる。
噛まれてもいず、ケガもしていない状態の人間が突然ゾンビ化するのだ。
まぁこれがゾンビ3.0になるわけね。
そのうち研究所内でもゾンビ化するものが現れる。
噛まれてもないのに突然隣にいる人がゾンビなったら怖すぎるわ。防御も何もできんし。
一体どのような条件下でゾンビ化するのか。
ゾンビと対峙しながら、原因を探る深雪たち。
タイムリミット(所内が停電すると正門が自動的に開いてしまい大音量で警報が鳴る)が迫る中、深雪たちはゾンビ化の原因を究明できるのか?!というお話。
とにかくめちゃくちゃ面白かった。
一気読みしたわ。
いや~なるほど、こういうふうに考えたらまぁ納得できなくもないなぁと。
ゾンビになると目が白濁したり、皮膚がぼろぼろになったりするやん?
あれもちゃんと説明されるわけよ。
そして、噛まれたとき、ケガしたとき、そして何もしていないのにゾンビ化するとき。
これにも説明をつけてる。
これがありえるとかありえないとか考える前に、科学者でもなんでもない私などはなるほど!なるほど!そうなのか!とうなずいてしまう。
そして怪しげな行動をする刑事は殺人犯を追っていることがわかるんだけど、これもまたせつないんよ。
敵か味方かずっとわからない状態で。
そしてもう一人の侵入者である大学生。
彼がまためちゃくちゃキャラがいい!
ゾンビオタクで、とにかくゾンビの生態に詳しい。
最初は彼の発言に重きを置いていなかった研究員も、だんだん彼に質問するようにもなる。
私も彼くらい話せる自信あるわ。
なんか、ゾンビに対し耐性(ゾンビにならないとかではなく)がある感じで、パニックになったりしない。
冷静に行動できる。
ん~。私は冷静に行動する自信はない!知識はあるけど!
あと、どのゾンビ小説でも問題になるのが、ゾンビ=人間、という図式。
映画のように簡単に殺したりできないわけよ。
特に警察はむやみに発砲できない。
となると、やられてしまうんよね。
こういう小説増えてきたなぁ。
これ、もし現実にゾンビが現れてもそうなるやろなぁと。
そして自衛隊も他国からの侵略に対してのみ武力行使できるから、国内でゾンビが発生したからと言って火力を用いて駆除したりはできない。
そうなると、人々を助けることができない。
しかも、ゾンビ化3.0(突然ゾンビ化)がある。
身内からいきなり襲われていては、とても安全地帯をつくることはできないからね。
だれがゾンビ化するのかわからないから。
いや~ほんま何度も言うけど面白かった。
もしゾンビが同時多発的に世界各国で発生したら、意外と人類は簡単に滅びるのかもしれんね。
怪獣や宇宙人が攻めてきたほうがまだわかりやすいんやろな。
人権だとか病気だとか考えてると対応が遅くなってしまう。
そして、いくら政府が外に出るなと言っても、食料がなければ外に出るしかない。
それに大切な人を助けに行きたい…と思うのもありえるから。
たちまちゾンビだらけになるのも意外とありえるんだと思う。
読後感はね、ほんとすっきり。
解決法もあるし、そして途中途中で出てくる人たち(配信者)の行く末もきちんと描かれる。
あの人もこの人も生き残るし(ネタバレはしない)。
今まで読んだゾンビ小説の中で、理由がはっきり描かれているのが初めてだったので目からうろこやった。
専門家ではないので、書かれていることがどの程度真実に基づいているのかはわからんけど、素人からしたら十分納得できる展開でした。
ありきたりなゾンビ小説に飽きた方や、今までゾンビなんてありえんしと思ってた方に読んで頂きたい。
ほんと面白い(何回言うねん)。
超おすすめ!!
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