あけましておめでとうございます。
本年もどうかご訪問よろしくお願いいたします。
今年もたくさん本を読み、映画を観る生活が遅れたらいいな~。
みなさまも良いお正月をお過ごしくださいませ。
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「限界集落オブ・ザ・デッド」 著者 ロッキン神経痛
★★★★☆ (個人評価 ★多めならおすすめ)
数十年前、日本を襲った大災厄。
それは死人が動き生きた人間を襲うというものだった。
災厄を乗り越え生き残った日本人はまた秩序を取り戻していた。
しかし死人は相変わらず蘇り、そのため送り人と呼ばれる者が都度処理をする…そんな世界。
山間の小さな村、限界集落には老人しか住んでおらす、時折死人が出ては送り人である恐山が死の世界へと送り出す日々。
ところがある日とんでもない大量の死人が村に流入してくる。
老人ばかりの村は全滅するしかないのか!
まず世界観に驚いた。
タイトルを見ててっきり、老人がゾンビを倒すコメディかと。
全然違ったわ。
ちゃんと世界観を持っていて、ゾンビが当たり前の世界になっている。
以前ゾンビが大量発生し、それを乗り越えて今がある…という世界。
それでも人は死んだら留人(ゾンビ)となり人間を襲うというのは変わらない。
限界集落と呼ばれる老人ばかりの村。
そこにゾンビが大量に襲ってくる…というお話。
ちゃんとすべてに理由があって、面白かった。
代々伝わる役割というのがあり、例えばそれは見張り人だったり、銃で殺す叉鬼だったり、ゾンビを倒し送り出す役割の送り人だったり。
なるほどな、と思った。
こういうゾンビものは初めて読んだわ。
主人公は老人の送り人、恐山。
めちゃ強い。
その家に、孫のケイがやってくる。
彼は送り人の血を引くことで悩み、高校を中退して村にやってくる。
そのころ、村と都の連絡が絶たれてしまう。
そしてゾンビが大量に村にやってきてしまう。
これもね、ゾンビには時折群れになる性質があり、そこには“親”役のゾンビがいてそいつが群れを率いるという現象が起こる。
知性があるわけではないんだけどね。
他のゾンビがみなそいつに付き従うみたいな。
そして、送り人について。
彼らはゾンビ対策のために肉体強化された軍人の末裔。
なので普通の人間よりも力も強いし俊敏。
そこらへんでケイは悩んでいたんだろうという感じ。
自分が他の人より肉体的に優れている…というのは優越にもなりうるし、反対に悩みの種にもなるだろうな。
送り人がゾンビに噛まれて死ぬと、転鬼と呼ばれるゾンビになってしまう。
他のゾンビとは違い、知性があり動きも俊敏、なかなか倒れない。
肉体が強化されているための弊害。
とまぁ独自の設定が色々あって面白い。死んだら必ずゾンビになる。
ゾンビは毒を持っていて、噛まれて体内に毒が入ることにより死に至りゾンビとなる。
老人ホームとかどうなっちゃうのか。
夜の間に亡くなった方がゾンビになったら、ホーム全滅するやん。
こんな世界嫌だわ。。。
ケイが高校を辞めて村に来たのは、自分の役割について悩んでいたから…という感じかな。
他の人間より優れた肉体を持ち、けれどもそれを生かす場はない。
ゾンビがそうそう徘徊する世界ではなくなっているからね。
まぁ結局平和はなくなり、またゾンビが徘徊する世界へと変わったのだけど。
ゾンビ爆発には抑えきれなくなった何かがあったんだろうな。
そこは詳しく説明されてはいない。
戦争があった、という軍人の言葉から推察するしかない。
限界集落だから老人しかいない村。
まぁケイが来たから若者がゼロではないけども。
けれど彼らは昔の災厄の生き残りといえる人々。
武器を取り戦う姿勢を見せる老人も少なくない。
思わず頑張れ!!と応援してしまう。
悲しい展開もあり、はらはらする展開もあり、また若いケイが無謀な行為を繰り返したり、もう一気読みです。
期待した以上に面白かった。
もっと軽いノリの小説かと思ってた。
ちゃんと世界観を確立させた、え?なんで?という矛盾をあまり感じずにすんだ。
真面目にそして哀愁も漂わせた大人のためのゾンビ小説。
ゾンビ好きな方、これはおすすめです。
老人が主人公なのでもし映画化されると地味な気はする……。
でも主人公の恐山は役所広司さんが適役かと。
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