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「百年法 下」 著者 山田 宗樹

 

★★★★☆(個人評価 ★多めならおすすめ)

 

不老化技術の開発により、国民は永遠に老化しない身体を手に入れた。
しかし大統領と首相、だんだんとその不和が報じられるように。
そして百年法を拒否し、安楽死させられることを拒む人々が増えていく。
彼らはIDを取り上げられ、人間としての最低限の生活までもできなくなってしまう。
そこで、山の中に隠れ住み、拒否者ムラを形成していく。
しかし安楽死施設がテロにより爆破され、拒否者たちの中にテロを指示しているものがいるとして、拒否ムラを壊滅させる動きが起こる。
壊滅に向かうのは大統領直属の精鋭部隊。
そして大統領に異変が起こると同時に、警察幹部が第三勢力として権力を手に入れようとする。
果たして日本の行く末は…。

 

 

下巻は政治色が強い内容になっている。
そして安楽死拒否者たち。
違法IDを使って都市で生活するもの、山の中に隠れ住むもの…さまざまな方法で生き延びようとしていた。

 

百年法下2


病気でもなく健康で、全然老いていない身体。
それを安楽死させられるのはイヤだろうなぁ。
日本のためにそれが必要なのだと言われても納得できないだろう。
拒否するものが現れるのは必然だと思う。

百年法廃止を掲げ、テロが起こる。
安楽死施設が自爆により破壊されてしまう。
当然拒否者に対する圧力は高まる。
そしてテロの首謀者だと思われる人物が浮かび上がる。

 

百年法下
疑われるのは、不老化技術を受けないまま、自然に老化している仁科ケン。
彼は、自らは百年法に関係ないにも関わらず、拒否者たちを助け、自分のIDを使って物資を供給したり、ムラ建設に力を貸していた。
彼にはカリスマ性があり、知り合ったものを取り込むような魅力を持っていた。

彼自身は、健康なものを安楽死させることに疑問を持ってはいるが、ではどうしたらよいのか…と悩んでいる。
それでも拒否者たちの味方になり、彼らを助けている。
そのため、警察にテロリストと間違われて追われることになってしまう。

仁科ケンは魅力的。
自らの意思で行動し、不老化にも魅力を感じていない。
周囲が若いままでいるのに、自分だけは老化していく身体のまま。
こういう意思が強く、自分をしっかり持っているというだけで魅力的だと思う。

あともう一人魅力的な人物が。
遊佐首相。
彼は官僚時代、百年法の実現に向けて必死に活動していた人物。
そして国民投票により否決され、百年法が凍結される事態も経験している。
その後、自らが権力を握ることにより、日本のため日本を存続させるために、独裁者制を敷くことにする。
彼は一本筋が通った人。
例え憎まれることになろうとも、日本のために正しいと思ったことを貫く。

 

百年法下3

この小説の魅力はいっぱいあるけど、まずはストーリーの緻密さ、官僚政治、法律制定のリアルさ、そして登場人物それぞれの魅力。
もし不老化技術が開発され、みなが老化しなくなったら…。
その発想からここまで発展させられるなんて一体どういう頭をしているのか(褒めてる)。
まるで見てきたかのように緻密に描かれる日本の未来。
一体これをどうやってオチをつけるのか…と思っていたら。

この小説のラストにも驚かされた。
乱暴なようにも思えるけど、こういうこともあるかもしれないと思えるからすごい。
なるほどな~こうやって広げた風呂敷を綺麗に畳むのかぁ~と感心しつつ、しかもぶっつり終わるのではなく、しっかり納得いくように、しかも感動も交えつつエンディングを迎える。

いや~良い小説を読んだ!と満足したわ。
ほんっとに面白かった。
一体どうなるのかと架空の日本の行く末を案じながら、今の日本には、仁科ケンのような人物も、遊佐首相のような官僚もいないんだろうなと羨ましく思った。
きっと政治家たち、官僚たちは、自分たちの事だけ考え国民の事は一切視野に入れないだろう。
百年法の適用だって、一般市民だけになるだろうな。
政治家や、多額の税金を納めたものは免除…という法律になるんだろうな。
考えるだけでむかつく(勝手な想像やのに)。

もし、日本人が不老になったら…。
そんな空想が現実になったらこうなるだろうというシミュレーションだと思って読むのがいいかも。
それくらいリアルに感じられるお話。
超おすすめ小説です。

 

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