「唯一の神の御名―龍の黙示録」
著者 篠田 真由美
★★★☆☆(個人評価 ★多めならおすすめ)
龍の黙示録の三冊目。
二千年の時を流離う龍が過去の断片をトーコとライラに語る形式で、ローマ時代と、日本が倭の国と呼ばれていた時代の二編による短編集。
ローマ帝国では間接的にキリスト殺害に責任がある皇帝に復讐に行く龍。
これはのちの時代でも宿敵となるリリトとの出会いの物語でもある。
またその後不老不死の龍の血を拒むローマ皇帝との出会い。
永遠の命を得るよりも人間として死ぬ方を選ぶ皇帝。
死の間際にあってその選択ができる人格に尊敬の念を抱いた。
キリスト亡きあと生きる希望を失った龍は、磔刑に処せられた彼の血を掠め取った悪霊たちを捕まえ殺す事を生きがいに、倭の国に流れ着く。
そこで厩戸皇子(聖徳太子)と出会う。
彼の中にキリストの影を見つけ皇子に心を惹かれていく龍。
蘇我の入鹿等歴史で習ったな~でもなんかもう忘れたな~な名前が出てきて面白い。
朝廷に忍び寄り倭をそして全世界を手にしようとする悪霊との戦い。そして厩戸皇子との別れ。
やはり彼も不老不死を拒み人間として生き死ぬ事を選ぶ。
龍が心を惹かれた血を与えたいと思う人間は、みんな人間として死ぬ事を選ぶ。
龍の孤独がひしひしと伝わる。
ライラに血を与えた理由は”孤独”だったのか。
この巻で龍の哀しみとか長い長い孤独とかそういったものが垣間見れた。
あと歴史好きには面白いんちゃうかなこの本。
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