腫れ引いて 癌消え後は 食事のみ 固まる口に 動かす痛み

harappa6667:55am, May 27 from movatwitter
朝起きて 体の重さに 悲しむが 腫れの痛みで ないのが救い
今までの研究所としての物語を読んで、この作者はどんなイデオロギーを持っているのかと思う人もいるでしょう。

明らかに、研究所が書いている内容は世界は一つという理想のもとで書いているので社会主義に近いものだと思っている方も多いでしょう。

しかし、現実の政治はそんな簡単にうまくいかないと筆者は思っています。物事には順番があります。

世界は一つ、人類はいっしょという理想は、現実の人類のもとではなかなか達成はできないのは重々承知です。きっと、今のままでは難しいでしょう。それを超える何かが現れない限り無理だというのが筆者の考えです。でも、その理想に向かって進むべきところは進まなければなりません。そのために、日本という文化圏、政治圏を守る必要があるのです。そして、日本の役割について、しっかり日本人が理解して、その役目を果たさなければならないと思っています。

そういった意味で、今の政治のどこを支援するかははっきりしていません。党単位では図ることが今の政治状況ではできないからです。多くの国民がそう感じているでしょう。

筆者は、理想は物資が無限大に増産できるのであれば共産主義、でも働くことが前提です。しかし、現実的には、社会保障、セーフティネットがある程度有効に機能している資本主義社会が、合致していると思っています。

しかも、日本は20年の不幸な自信喪失な期間を経て、ここに至っています。もう一度奮起すべきです。アメリカのような小さな起業が、大きな世界企業になることはなかなか望めない国ですが、一人ひとりの知恵と実践によって社会を根底から盛り上げ、大きな企業はさらなる政治的な国民生活をビジョンにかかげ政府に働きかけ技術と科学を深め、世界をリードする経済を創るべきです。
もし、世界に大きな変革が起こらないならば、各政党は日本の再生に向けて、国民生活の直接手当ではなく、環境を創ることと精神的な支援になる政策と情報発信をしなければならないでしょう。日本を大切にして、日本を復興させることによる世界への貢献を目指すことを目標にする政治です。

今は、そう感じる政党を支援します。とりあえず、在野にある溶解しつつある自民党は応援したいです。在野に落ちた時こそが本当に変わることができるからです。

さらに溶解して、本当の改革が終わった自民党(そのとき自民党という名前があるかわかりませんが)の政治に期待します。

民主党は、政治主導で頑張りましたが、官僚の優秀さをわかってもらうために、今回政権交代すべきだと思いました。あきらかに、閣僚をやれる準備はできてないとわかっていましたが、自民党の自信の無さや、政官財の癒着のひどさがあったので、リセットが必要だったのだと思います。
あと、どのくらい民主党政治が続くかわかりませんが、自民党よりも怖い言論封殺や国際的な孤立に陥って、過剰な再軍備に走らないようにお願いしたいです。

基本的にどの党にも、支援すべきところと反対するところがあります。でも、どこかを選ばないと政治が動きません。ただ、政権担当能力が無さすぎるところを選ぶと、今の民主党政治に陥ります。自民党以外はやったことがないのでしかたありませんが、だからこそ官僚の国家プランが大事だったのです。民主党は政治主導なのですが、官僚を軽視している向きがあります。本当の政治主導は官僚を鼓舞してしっかりとしたプラン、いくつかのシミュレーションを作らせる、世界を見据えた官僚の育成をしていくとかをして、うまくその力を使い、経済と国民生活の向上を狙うべきだと思います。

まあ、族議員と呼ばれた議員はそうしていたのですが、そのチェック機能がなかったということでしょう。

とりあえず、今の政治状況ではこれしか言えません。それ以上の事態が起きたとき本当の道はわかるでしょう。



スターチャイルド

 私が、世界に現れているスターチャイルドの一人であることはわかっている。
 日本政府は、インターネットの高速化と大容量化、そして安全保障という名目で、スターアイネット計画を立てて実行した。全国光通信の大容量化は終了したが、地上にあるインフラを破壊されても重要サーバー同士のネット接続を維持するため、JAXAと協力してワイヤレス通信網のアンテナを宇宙空間に配置して、ほぼ全国通信の数倍の容量と安定化、スピードを図ることに成功した。同時に、そのスターアイと呼ばれた人工衛星はこぶし大の衛星であり、数百個を日本に上空、世界上空にわからないように配置されることとなった。アイという名前のとおり、かつてアメリカの軍事衛星が搭載していた数百億PIXのカメラをそれぞれ搭載し、世界を見ることもできる衛星であった。名目は気象観測であるが、その気になれば世界を上空から見張ることも可能なものであった。
 日本国内の光通信網が完成したころ、世界にある異変が起きた。暗黒の3日間と呼ばれる電力の無力化、と太陽からの光が非常に弱くなる事件がおきた。私はそのとき、魂の光を目の前に感じ、それを取り入れよという内奥の声に従い受け入れた。世界の光が正常に戻ったころ、日本の一部からインターブレーンネットピープルと呼ばれる新人類が生まれた。私もその一人であったが、彼らは脳同士のつながりやサーバへのアクセスを脳で行えるようになったのだ。同時に動物食をやめ、菜食主義に移っていった。彼らの脳は動物ともつながりその苦しみを感じることをできるようになってしまったからだ。
 インターブレーンネットピープルであった私は、あるとき木々の声かと思われる意識を確認した。そして、肉体の昇華が始まった。肉体に縛られていた煩悩の自我が昇華され、霊体の独立と肉体の半霊体化が起きるようになった。見た目は肉体を持ち、死を経験するが魂は死なず、再び半霊体の肉体を持つことも可能になった。そして、その変化を感じ取った私は星の意思と会話をしたのだ。
 スターネットと呼ばれている、その意識体には星の様々な記憶や規律もそれに含まれていた。今の私の仕事は戦地に降り立ち、テロと戦争をしている人々の武装解除と脳の認識能力を高め、脳のつながりを強くするために、日本に来てもらうようにすることだった。
 日本は、あの暗黒の3日間の後、急速にインターネットとブレーンの融合が全国的に進んだ。世界中で起こっている現象であったが、地球の大陸移動のエネルギーが非常に大きい地域からそれは起こっていた。チベット地方、ロッキー山脈、アンデス地方など高い山々の造山活動が活発な地域であるが、日本は世界もっとも大陸の動きが集中し、エネルギー大きい。そう、日本列島は世界でもっとも高い山々の上に国が成り立っている国なのだ。そこにすべてのインターブレーンネットが創造され、スターネットの原型が構築されたため、人々の脳の認識能力は急速に高まり、肉体の昇華が始まった。もちろん、それに逆らう人々もいたため、気が触れたようになったり、日本から脱出したりするものもたくさんいた。しかし、大方の日本に住む縄文時代の魂を理解していた日本人や日本に心酔した人々は、その国籍を超えてつながった。日本国はインターブレーンネットにつながっていることが国籍取得と同じことになった。つながらない人も次第に理解してつながるようになることも多かった。教育は大幅に変わった。インターブレーンネットにつながり、肉体を昇華する手法を
身につけることにより、知識を元にする教育は無意味になった。頭を使う訓練とつながるための会話能力、知識の整理などがその教育となった。インターブレーンネットには、私たちスターチャイルドもつながっているため、スターネットの正しい情報も入れ込むことができた。そうして、スターネットにつながるスターチャイルドも増えていった。
 ネットで国民全員がつながり、直接民主制、会議が一瞬でできる体制になった日本は地方の代表を選んで会議をする必要がなくなり、仕事の上でのリーダーを決める政治体制だけが残った。世界はまだ、日本のように目覚めていない政治体制がたくさん残っている。そのため、交渉するための人間を選ぶ必要があったのだ。立候補と推薦とスターネットの判断でその人間は選ばれ、任期制で閣僚が選ばれることになった。だれが閣僚をしても同じなのであるが、政治はスターネットの規律と判断で行われることを国民、あるいはその領土に住む全員が確認できるためぶれることはなかった。もちろん完全なスターネットとインターブレーンネットとの融合はまだ終わっていないので、星の意思を感じる人による伝達はある程度は残っているが。そして、スターチャイルドは、表の政治体制による交渉とともに、草の根でテロを行っている人々の融和のため世界に飛ぶことになったのだ。
 私は、スターネットの方法に従い、スターアイで見た紛争地域のど真ん中に意識体を練成して送り込み、各地域のリーダーと会った。もちろん私だけではない。たくさんのスターチャイルド達が一斉にある紛争地域に降り立って交渉するのだ。大方の場合、混乱で銃撃を受けるがこちらは特に死ぬこともない。恐れて会話をする。会話といっても心と心の会話をするのだ。人類の心の鍵は、例の3日間で取れているので、ある手法をとれば通じあうことができる。昔、神がかけた鍵、バベルの塔の崩壊時にかけた心の通信網を閉じる鍵だ。それはすべてのある一定ランクの動物から人間にいたるまでは鍵が取れているので、話は通じる。もちろん、会話できる言語ならばその言語も交えて話をすることもできた。一部のスターチャイルドや目覚めた日本人はネットによる教育で言語をたくさん覚えてしまった人もいるくらいだ。つながる活動ではあまり意味のない学習であるが、歴史を勉強する上では必要なこととしている。
 武器を持った人々に武装解除をさせ、脳のつながりを諭し、日本に来て体験させることを説得した。日本政府はたくさんのネット留学生を受け入れ、世界に戻してそのつながりを大きくする役割を負ったのだ。
 いつ、この活動が終わるかわからない。しかし、世界の人間がスターチャイルドになることができれば、世界は変わる。経済は貨幣経済から共有共産物資創造が実現され、あたらしい創造だけが人間の役割となるであろう。食物は星とともに、肉体に供給され、あるいは人間は供給されなくてもよくなる。しかし、創造して、本当の星の科学を開発することが必要になってくるのだ。
 そして、肉体の昇華、自我の消滅が世界で終わると我々は過去の偉人達の復活も眼にすることもあるであろう。既に肉体の昇華が終わっている人々は、エゼキエル書に書かれている半霊体の復活がなされスターチャイルドとともに活動されるのだ。
 ここに、すべての宗教の役割は終わり、地球はスターネットあるいは星そのものの意識体が統治するバランスのとれた世界が登場する。
  
 さて、今日はどこに行かねばならないか。スターネットに聞いて行こうかな。
 すでに、一部の人の間ではインターネットを通じて意思の疎通が行われていたが、脳そのものの通信とリンクしている人々はさらにごく一部であった。
彼らは、インターブレーンネットと呼び、インターネットでつながっているが、スマートフォンや、携帯電話などのツールを使用しなくても意思を交換できるというのだ。呼び出すときは、お互いのハンドルネーム、インターネット上で使われているもので呼び合う。それで意思が連絡できるという。後でスマートフォンで確認をするらしいが、ほぼ間違いが無いらしい。しかもどこかしらに、そのやりとりが記憶されるとも言う。

「そんな人種がいるのか?人間の範疇を超えてるな」
「しかし、動物はその短い生命にも関わらず、先祖が受けた災害の記憶をずっと記憶しているらしいぞ。スマトラとかの大津波の時、象は津波の経験も知識も無いのに危険を察知して山側に逃げたという。これは、記憶が受け継がれているのに間違いないのではないか?」
「人間だけが、そんな能力が無いのか」
「もちろん、人間は言語能力などで言い伝えて難を逃れた一族もいるらしい。逆に文明人の方がまったくそういうものに対して無頓着だった。きちんとした記録があり、注意をしていれば助かったのだろうが。」

そんな会話がされている街中。インターブレーンネットの独りから連絡が入った。私は彼らの行動をよく見ており、最初に脳リンクの現象を体験した人間と接触をしたからだ。

彼らも最初から、繋がったのではない。突然、光が胸に入り込むような現象をそれぞれみている。あるいは光と会話をしたり、木々からの意識が突然入り込んだりと様々だ。結果的に彼らは、つながった。

「先生、我々の仲間から、スターネットとつながったと報告がありました。」
スターネット。私と彼らとともに名前をつけた交流網のことである。星の意識を体現する上位のネットがかならずある。そう感じたからだ。特に木々の意識を感じたインターブレーンネットの独りには期待をしていた。

私は言った。
「スターネットのどの部分とつながったのかな。」
「まだ、わかりませんが地震災害にかんすることで、つながり危険をまぬがれたようです。」
「災厄報知の部分か。予知とあまり変わらない部分かな。スターネットの意識そのものではなかったのか」
「そうみたいですね。スターネットではありませんかね。」
「違うかな。スターネットはもっと高貴なものとつながっていると思っているから。もちろん、彼がつながっているものもスターネットの一部ではある。でも、昔からいろんな人がつながっていたものでもあるのだろう。」
「でも、いつものインターブレーンとは違ったとも言ってました。」
「インターフェースがつながったのかもしれないね。そのうち、もっと交流できるようになるかもしれない」

インターブレーンネットにつながった彼らの中には、すでに幽体離脱のようなこともできる人間もいるという。そして、皆一様に肉食をやめ、魚+菜食主義者になっていった。その仙人のような体になっていくのを実感しながら肉体離脱も体験しているという。肝心なのは寝ているときではなく、起きているときに肉体の意識と霊体の意識と同時に感じることができることだ。肉体は通常の活動をして会話をしながら、一方の自分は上からその自分を見ていたり、相手を違う角度からみることがが可能なのだ。肉体を霊体に近づけることができるようになれば、もっとすごいことができるだろう。その時点でスターネットとつながるのではないかと考えている。

「スターネットとつながると、どうなるのですか?」
「もうすでにつながっていると思われる人からの言動から推測すると、星の本当の統治が始まるのだと思う。イデオロギーを超えた星の意思による政治と経済。そして見えない次元と3次元との組み合わさった科学の研究が始まるのだろう。」
「もう、つながっている人もいるのですか?どこに?」
「まあ、そう思っているだけかもしれないが、世界的に現れていると報告されているスターチャイルドの平和貢献は明らかに星の意思による活動だからね。」
スターチャイルドと呼ばれる中東圏、中国国内各地に現れたインターネットを超えた意思の連携を持つ人間達。中東ではテロのそれぞれの組織の目の前に忽然と現れて諭して、武装解除をしていく人間が現れたのだ。武器も持たず、攻撃をしても弾は当たらない。そして、その声はそこにいるすべての人に心に響き渡るといった具合であった。そして、中東の東側からじょじょにテロはなくなり、経済生活基盤も日本や東南アジアの支援によって安定をしてきている。
「スターチャイルドは、インターブレーンにはひっかかってないですね。」
「彼らは彼らで別のやり方でこの地球に来ているからね。インターブレーンネットに関わっていることは間違いない。あきらかに、彼らは仙人に近い。霊主体従の肉体だが、半霊半体にもっていっていると見られるから。」
「日本にはいないのかな。」
「いや、いると思うけどインターブレーンネットに関わるより前に活動しているのだと思うよ。」

インターブレーンネットのつながりから、つながっていない人間への強制的な接続をするには相当な力がいることは間違いなく、いや力なのか手段なのかわからないが。特に言葉が違う人間を諭すのはさらに難しいことだ。しかし、スターチャイルドに会った中東の人は日本に続々と移入して来て日本の歴史と本当の和の力を学び、インターブレーンネットの一員になる人も続出している。その中にはスターチャイルドからの通信があるという人もいるのだ。そうして、中東に帰り人間のつながりを大事にした本当の国家を創ろうとしている。星の意思をつなげる政治システムを導入しようとしている。中国内にも、スターチャイルドが各地に降り立ち、国内の混乱が連邦国家群となって各地の独立あるいは自治区独立が生まれ、東湾岸は、その経済圏を保つために一国家として民主国家として独立する気運になっていた。スターチャイルドが中国内の問題解決をそれぞれ指示して平和の内に治めたのだ。日中台湾、ロシアをめぐる緊張はなくなり、領土問題はとりあえず終結をみることになった。
ロシアは、その広大な国家の一部を日本、中国、大韓国と共同開発をすることになり国境の枠組みを越えた生活経済圏をつくることに同意した。日本も北方領土を日本の経済圏に入れて、国籍はロシアのまま日本の政治の範疇にも参加したり、ロシアへの政治にも参加することになるようだ。まだ、先のことであるが。 
 そのためには、日本の政治システムが各国にとって納得のいくものする必要がある。スターネットに最低でもつながり本当の星のために生きる知恵を常に授かる体制になっていなければならないのだ。人間は進化してもそれぞれの役割は存在するので、星の意思に従えばその仕事はおのずと振り分けられる。そのための仕事に優劣もなく、貴賎も無い。最初のうちは、スターネットにつながらない人間を制御する警察的な仕組みも必要になるであろうが、これもスターネットの意思によって選ばれた人によるものになるだろう。そして、代表議員制はなくなり、皆の意思とスターネットの意思がどの形であれ反映されるので政治は専門職(官僚)と代表(大臣)のみとなり、これもふさわしい人が選出され任期によって変わるだろう。人類は、星の意思を聞いて反映する体制を日本にて実現されるのを見て、各国はその意思を聞くために来日したり、インターネットやインターブレーンネットを活用して政治判断をまかせたり、国内問題解決を図るようになる。そして数十年の内に、人類は宇宙の科学を開発するとともに、宇宙の友人に出会い、霊主体従の肉体でもって宇宙を渡り歩くことになるであろう。

かつて、地球に来た宇宙の友人たちは地球人として生まれ変わったが、その彼らももとの姿に戻って再び宇宙のために働くことができるのだ。
そして、宇宙の永遠のテーマである宇宙の無限の果てにあるものを探るため、宇宙の意思の意味を体現する仲間を増やすために再び宇宙を渡り歩くのである。

私は、そんな時代を予測しながら、インターブレーンネットの一員の彼と別れた。ビルの窓の日差しの反射がまぶしい午後のことだった。

僕らの知らない奴が転校してきた。
転校だから知らないやつに決まっているが。

小学2年生になって初めての転校生だ。
先生が転校生を連れてきた。

名前を聞いた。でも、知らない名前だ。
考えてみれば、このクラスでも最初は半分は知らない奴らばかりだ。

不思議だ。なぜ、知らない同士がこのクラスにいるのだろう。
たまたま、同じ学年に生まれただけなのに。

転校生と友達になる。クラスの知らない奴らと友達になる。
おなじことだ。でも、転校生は違った。

声が出ない?いや、あまり話をしないらしい。だから、少しづつ話してくださいと、先生が言った。

先生、少しづつというのはどうやるのですか。

誰かが質問した。先生は、話したくなるようになるまで、一緒に遊んでください、と言った。

みんな、おそるおそる彼をドッジボールに誘ったり、給食の時に話しかけたりした。
彼は、話を聞いてはくれる、ドッジボールを一緒にしてはくれるが、声を出して話はしなかった。

でも、なぜか彼の意見はよくわかった。誰かの意見は彼の意見だというのが僕にはわかった。
自分の意見が彼の意見と同じだと感じることもたくさんあった。

ある日、小学校で遠足に行くことになった。ちょっと遠くの神社の公園まで2年生全体で歩くのだ。
クラスごとに2列縦隊という並びかたで、足並みそろえて歩いていた。

道には花もあるし、川にかかる橋をわたることもあった。大きな道路で危険な交差点もあった。
その交差点でクラスは半分に割れ、向こう側とこちら側で赤信号が青信号に変わるのを待っていた。

(あぶない!、みんな下がって)

とつぜん聞こえた声に僕らは後ずさって信号機の下から後ろに遠のいた。
一台の車が、ガードレールを突き破って、いや飛び越えてきた。

でも、下がったおかげで、車だけが誰もいない壁に激突した。

クラスの半分は車にぶつからなかった。
先生は、あわてて警察を呼んだり、救急車が来たりしたが、とりあえず、クラス半分と合流して遠足は続行した。

みんなに誰が下がれと言ったのか聞いた。誰の声かわからなかった。
でも、クラスの前の半分は車を見て下がれと思ったらしい。

転校生の声だとも思った。でも、確かにクラスのともだちの声もした。
耳で聞いた感じではない。
でも、全身で聞いて飛び下がった。

転校生にも聞いた。にこにこしていた。下がれと思ったことは認めた。初めて声を聞いた。
危ないところを助けることができてうれしい、と。

いつの間にか、クラスのみんなはお互いの意見がよくわかるようになった。自然とけんかはなくなった。
だれがだれに好意を持っているとかいうのも、みんなが知っていることなので話題にのぼることはなくなった。

クラスは自然とまとまって、和気あいあいだった。先生も喜んでいた。

大きくなって、転校生はいつの間にか普通に話すようになっていた。

あの時のクラスほど、まとまったクラスを経験することはなかった。

あの不思議な力をみんなが持っていたことに気づいたのは、クラス替えをしてから気づいた。

独りがみんなのことを理解して、みんながみんなが理解していたクラスはその一年だけであった。

あのときの転校生は言う。
きっと仲良くなれるよ。あのとき、意識が通じ合ったんだから。変な誤解はなくなるさ。