あさま山荘事件の鉄球はいま!? | 原元美紀 オフィシャルブログ 「原元美紀のミキペディア」 Powered by Ameba

あさま山荘事件の鉄球はいま!?

2月28日、昭和史に残るあさま山荘事件から46年ですね。

 

私はこれまで2回

この事件の真相を伝え残すイベント
「久能靖が語る激動の昭和〜あさま山荘事件の真実」

企画しました。

 

 

トークショー「あさま山荘事件」Part2

 

久能靖さんは私の尊敬する師匠で、

いまでは皇室ジャーナリストとして

画面に登場することが多いのですが、

実は、日本テレビアナウンサーとして

1972年2月28日、雪深いあさま山荘事件現場から

9時間もの生中継を担当されました。

 

 

そして、その後も40年以上ずっと取材を続けていらっしゃる

唯一のジャーナリストなのです。

 

久能さんが集め続けた

当時から現在に至るまでの映像や写真で事件を振り返りながら、

事件の真相に迫ろうというものですが、

秘蔵コレクションが凄くて。

 

久能靖氏のあさま山荘事件資料


事件秘話の中でも、久能さんだけが知っている話、

伝えきれなかった話をテーマに、

私と講談師の神田きらりさんが

ナビゲーターとして進行しました。

 

「報道人として初めて語るトークショー」ということで、

客席にはマスコミ業界人が多く、

当時の報道の仕方、各局の布陣、

この事件を機にテレビはどう変わったかなどについても

解説していただきました。

 

トークショー「あさま山荘事件」Part1

 

また、元連合赤軍メンバーの植垣康博さんをゲストに迎え、

12人もの命を奪った壮絶なリンチの真相が語られ、

集団心理、イデオロギー、時代背景など

当事者しか話せない重みが胸に迫って来て、

自分があの場にいたらどうしただろうと考えさせられました。

 

連合赤軍兵士・植垣康博氏が語る総括!

 

 

 

そして、このトークショーの取材で、

「現物が見たい!」と、アレのその後を追いました!

 

犯人が立てこもり、突如要塞と化したあさま山荘。

 

 

そう、人質救出作戦で、

このあさま山荘を破壊すべく投入された秘密兵器、『鉄球』です!

 

 

実はこの鉄球、ぜんぶで3つあるのですね。

 

ひとつはレプリカ。

 

ある建設会社が保管しています。

 

 

ふたつめは、映画撮影用。

 

「難局打開の鉄球」として、

撮影用鉄球とともに

「あさま山荘事件に集められた実物」(写真左側)が

ロケ地の新潟県・光ヶ原高原に

 

 

このように碑となっていますが・・・

 

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これ、大変紛らわしいのですが、

実際に使用されたという鉄球ではないのです。

 

レプリカ同様、事件当時現場に「集められた」だけで、

実際には使われなかった予備だったのです。

 

みっつめが、本当に使用された鉄球です。

 

実は、ホンモノはいまどうなっているのかということは

ほとんど知られていません。

 

久能さんにホンモノを保管してある場所に

連れて行ってもらいました。

 

すると迎えてくださったのは、

なんと例のクレーン車を運転していた白田弘行さん!!

 

久能靖氏とクレーン車を操縦した白田弘行氏

 

「実際使ったのは、こっちなんだよね。

予備は使わなかった。」

 

今も残る傷が生々しいです。

 

 

それにしても、意外な場所に無造作にゴロンと転がっていました!

 

「だって、飾るのも変じゃない。事件だったんだよ。

 

あさま山荘から帰って来て、すぐ他の建物壊すのに使ったし。

コンクリートの建物は球で壊した方が今でも早いの。」

 

レプリカの方が名前もついてるけど・・・?

 

「いや、さほどなんとも思わない。」

 

クレーン車は今どうなってるの?

 

「スクラップ。鉄くずにして。

使わなくなった車は、悲しいかな、

取っておくほどの土地がないから。廃車したらスクラップ。」

 

とサバサバと語る白田さん。

 

ホンモノって、案外こんなものなのかもしれませんね。

 

 

このイベントを通して、

これまで発表されていたことや世間で信じられていたことが

大きく食い違っていることが分かりました。

 

「鉄球(攻撃)が停止した本当の理由は?」

「人質となった牟田泰子さん夫妻のその後は?」

「彼らはなぜ仲間にあれほど凄惨なリンチ殺人を行ったのか?」

「この報道に対する世論の反応は?」

 

これまでの疑問も当事者の方から直接真相を聞くことができ、

あらためて自分の足で現場に行き、

自分の目で確かめ、

自分の耳で聞くことが不可欠なのだと痛感させられました。

 

久能さんは、

鉄球の持ち主の白田さんにも

事件後マスコミ取材を拒んでいる人質となった牟田さんにも

今でも連絡を取るほど信頼関係を築いていらっしゃいます。

 

「久能さんなら」と答えていただけるのだそう。

 

その信頼は「自分でちゃんと事実を取材したいという」

姿勢をずっと貫いてこられた久能靖さんだからこそ

得られたものだと学ばせられます。

 

事件事故など取材から多くを学ばねばといつも思いますが、

久能さんのような先達の取材姿勢についても

まだまだ及ばないと恥じ、

改めて尊敬の念を強くしました。

 

 

追伸

もっと詳しく知りたい方は、ぜひ久能靖さんの著書をどうぞ

 

 

「浅間山荘事件の真実」河出書房新社 600円(税別)