「レ・ミゼラブル」30周年記念公演 | 原元美紀 オフィシャルブログ 「原元美紀のミキペディア」 Powered by Ameba

「レ・ミゼラブル」30周年記念公演

「レ・ミゼラブル」日本初演30周年記念公演を

観てきました。
 
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今や44ヶ国で上演されているこのミュージカル、
日本は世界で3番目に幕を開けたのだそうです。
 
初日の1987年6月17日を記念して、
この一週間はスペシャルウィークとして
歴代キャストがカーテンコールに集結!
 
プラチナチケットを手に入れ、帝国劇場に向かいました。
 
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劇場には30年の歴史を物語る品々が展示。
 
こーんな巨大パネルが!
 
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実は歴代キャストの写真を集めて作られています。
 
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村井國夫さん(ジャベール役)、
本田美奈子さん(エポニーヌ役)も!
 
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なんと、劇中でジャン・バルジャンが盗んだ「銀の燭台」!
 
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眺めているだけで胸がジーンとなります!

 
待ちに待ったカーテンコールでは、
なんと初演でジャン・バルジャンとジャベールの二役を演じた
鹿賀丈史さんの登場です!
 
他にも鳳蘭さん、純名里沙さん、加藤清史郎くんなど
懐かしい方達がステージいっぱいに集まり、
壮観でした。
 
そして、歴代ジャベールを演じた鹿賀丈史さん、
今井清隆さん、岡幸二郎さん、今拓哉さんが
4人で名曲「スターズ」を熱唱。
 
初めてこの作品を観た高校生の頃からの30年分を思い出して
嗚咽してしまいました。
 
また、スペシャルゲストとして本場ロンドンから
マリウス役のロブ・ハウチェンさんが出演され、
「カフェ・ソング」を歌いました。
 
革命に失敗し、仲間がすべて死んでしまったのに、
自分だけ生き残ってしまった深い悲しみの歌です。
 
ロブさんが歌い始めると、
一瞬にして帝国劇場の華やかなステージが
1832年のパリへ時空を超えます。
 
胸が押しつぶされそうな悲痛な思いが広がり、
たった1曲なのにひとつの物語を観ているようなスケール感。
 
この歌だけでまた嗚咽してしまいました。
 
 
 
さて、「レ・ミゼ」本編、
この日の主演は、韓国人俳優のヤン・ジュンモさんでした。
 
韓国でも日本のようにミュージカル人気が高く、
迫力あるパフォーマンスが評判ですが、
ヤンさんも期待以上の情熱的なバルジャンでした。
 
歌の上手さはもちろん、
息遣いの表現がこれまでのバルジャンの中でも
一番伝わってきたように思います。
 
実は、2013年からの新演出で上演時間が短縮され、
スピーディーな演出になり、
場面の切り替えが早くて一人一人の心情が
以前より薄くなってしまったと残念に思っていましたが、
ヤンさんは気持ちの移り変わりを
時に激しく時に穏やかに慈愛に満ちた呼吸で表しています。
 
「いま、悲しんでいる」「相手を受け入れようとしている」
など、心のうちが手に取れるようでした。
 
そして、司教役で出演されている中西勝之さんは、
私が10年ほどコンサートや歌声喫茶で
ご一緒させていただいているのですが、
「いつか『レ・ミゼラブル』の舞台に立ちたい」
とバリトン歌手からミュージカル俳優に転身され、
見事その夢を叶えられました。
 
堂々とした歌と演技を客席から見て、
嬉しくて涙が止まりませんでした。
 
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この30年、
数え切れないほど「レ・ミゼラブル」を観てきましたが、
毎回考えさせられるポイントが違っているのに気づきます。
 
初演の頃は『赦し』です。
 
バルジャンが施しをもらった教会で銀の燭台を盗んで逃げたのに、
司教様はそれを赦し、
バルジャンに神の祝福を授けるのです。
 
その慈悲の心がバルジャンの魂を救い、
心を入れ替え正しく清い人間に生まれ変わる決意へと導かれるのです。
 
赦すことは、人を憎むよりも難しく尊い行いです。
 
その後ずっと私の人生で
『赦し』はひとつのテーマになりました。
 
 
次に気づいたのは、『選択』でした。
 
この物語の登場人物は、
何度も岐路に立たされ人生の選択を求められます。
 
その時に、「相手を赦す」「法の名の下に追い続ける」
「約束を守る」「自分が不利になっても嘘をつかない」
など、みな苦しい選択を選びます。
 
きっともっと楽な道があるはずなのに…。
 
どちらを選ぶかで人生が大きく変わる瞬間、
自分だったらどうするだろうかと悩まされます。
 
 
そして今日は、
「人が成長するには、何が必要か」ということを考えながら舞台を見ていました。
 
ジャン・バルジャンは「約束」、
マリウスやコゼット、エポニーヌの若者達は「恋」、
ジャベールは「信念」、など。
 
 
また、バルジャンもジャベールも同じ神を信じているはずなのに、
信じ方が違うのはなぜだろう?
 
この時代、人々は貧しいわりに意外と識字率が高いんだなぁとか。
(原作「レ・ミゼラブル」がベストセラーになったり、作中工場で働く女達が手紙を読む場面もあるし)
 
30年経っても、まだ発見があることに驚かされます。
 
一生見続けたいなぁ。